インプット→プロセシング→アウトプットを意識します。背景や環境・状況もとらえます。メッセージをつたえ、うけいれてもらいます。
NHK ラジオ英会話、今月は、「動かす ②」として、指示・依頼の発言タイプを練習しています。
Lesson 61 発言タイプ:指示① 命令文
I appreciate your cooking, but please put the dishes in the sink.
命令文には主語がなく、動詞から文をはじめます。非常につよい意味をもつ形ですが please をつければ丁寧な指示となります。命令文の基本バリエーションをみておきましょう。
- Take off your shoes, please.
- Make sure to lock the door, OK?
- Don’t play with your food.
- Never leave the knife out like this.
Lesson 62 発言タイプ:指示② 助動詞などによる指示
You must stay on Mars for another three months.
must は「~しなければならない」を意味し、命令のトーンをおびたつよい指示をだせます。さまざまな指示のパターンをみておきましょう。
- You should see a doctor.
- You’d better tell your boss.
- You are to remain on Mars until further notice.
「be to 〜」 により、感情をともなわないフォーマルな指示をだせます。
Lesson 63 発言タイプ:指示③ 必要性に基づいた指示
All you have to buy is one brush, a few watercolor paints, and watercolor paper.
「All you have to 〜 is …」は、「あなたが~しなければならないすべては… = あなたが~しなければならないのは…だけ」という意味です。必要性にもとづいて指示をだすときにつかえます。ポイントは「have to」であり、「~しなければならない」と訳されますが客観的なつよい必要性を感じさせます。必要性に基づく指示の例をみておきましょう。
- You need to connect to Wi-Fi first.
- What you have to do is (to) hold down the power button.
- You will have to wait a bit more.
「what you have to do」は「何をあなたはすべきか=あなたがすべきこと」という意味です。「will have to」で相手のゆく末に目をやり、「しなければならないでしょう」とやわらかくひびかせます。
Lesson 64 発言タイプ:指示④ 指示に便利な目的語説明
I need you to fill out this form.
「need you to 〜」 は「あなたに~してもらう必要がある」という意味であり、to 不定詞をもちいた目的語説明型です。you が to 以下の行為に進むことを必要としているという意識をはたらかせましょう。
- I want you to wear a suit.
- I need you ready in ten minutes.
- I expect you all to participate actively in class.
Lesson 66 発言タイプ:指示⑤ 心に留めるよう指示する
Bear in mind that you are androids.
bear は「支える・耐える」であり、「bear in mind」は心がアイデアを保持するということです。「心に留めておいて」「忘れないでいて」という機会はたくさんあります。
- Keep in mind that there’s no free Wi-Fi.
- Be aware that your performance is being evaluated.
- Note that attendance is a factor in your final grade.
Lesson 67 発言タイプ:指示⑥ 必ずするように指示する
Remember to keep practicing these math problems tonight.
「Remember to 〜」は「 remember(覚えている)+ to 不定詞(〈これから〉~するのを)」ということです。かならずすることを指示する典型表現です。ほかの例もみておきましょう。
- Make sure to call me later.
- It’s important to get a good night’s sleep.
- Don’t skip stretching before your workout.
Lesson 68 発言タイプ:指示⑦ 基本的な注意を行う表現
I don’t think you should ask me anymore.
「should not(= shouldn’t:すべきではない」はもっとも簡単な注意の表現です。注意する表現もいろいろあります。
- Don’t let your guard down.
- Be careful not to leave anything behind.
- It’s better not to worry about that.
Lesson 69 発言タイプ:指示⑧ そのほかの注意
You might want to give it some more thought.
「You might want to 〜(~したほうがいいかもしれません)」は注意や提案につかうやわらかい表現です。相手の自主性への尊重が want に感じられます。
- If I were you, I wouldn’t worry too much about it.
- Don’t even try to fix this by yourself.
- Heads up!
Lesson 71 発言タイプ:指示⑨「注意」がとる発言パターン
I really hate to ask you this, but could you possibly lower your voices?
この文は、「I really hate」以下の十分なクッションと、丁寧な依頼の形「could you possibly 〜?」 によって、注意して相手にうけいれられるようにしています。この流れを身につけましょう。
- Excuse me [I’m sorry], but could you please get in line?
- I hate to ask this, but could you please get in line?
- I’m sorry, but could you just stop talking?
Lesson 72 発言タイプ:指示⑩ 禁止する
You’re not supposed to download software because there’s a security risk.
「be supposed to 〜」 は「~することになっている」であり、規則や法律・約束などの決まり事をあらわす形であり、この形に not がをくわえ、「~しないことになっている」と「禁止」をあらわします。またその論拠をくわえます。相手が納得しやすい理由をあげます。禁止→論拠の流れをみておきましょう。
- You can’t sit here. These seats are reserved.
- You may not use these restrooms. They are for the customers.
- Smoking is not allowed here. See the sign?
Lesson 73 発言タイプ:指示⑪ 警告する
I’m warning you. If you don’t change your eating habits, there will be big problems later.
「I’m warning you.(警告しておきます・言っておきます)」は非常につよい警告の定型句です。if をつかった流れに注目してください。警告とは、このましからぬ行為を未然にふせぐことであり、それが、どんな結末にいたるのかをしめします。くぎをさします。
- I’m telling you. If you’re late again, 〜.
- I’m telling you. If you continue to eat poorly, 〜.
- You’d better take your work seriously, or else you’ll never get promoted.
Lesson 74 発言タイプ:依頼① 依頼の基本
Could you play a ragtime piece for her birthday?
依頼文に助動詞をつかい、要求を直接 相手にぶつけないようにします。「Can you 〜?」をつかい、相手の能力をきく文にすることによって要求からはなれることができます。さらに、 can を過去形にして「Could you 〜?」とすれば、現在してほしいという生々しさからはなれ、丁寧さがまします。
- Hey, can you lend me 500 yen?
- Hey, will you open this bottle?
- Could [Would] you please pass the salt?
Lesson 76 発言タイプ:依頼② 依頼を表すそのほかの表現
Would it be possible for you to listen to my new songs tomorrow?
「Would it be possible 〜?」は「~は可能でしょうか?」、「for you to ~(あなたが~するのは)」をくわえると相手への依頼となります。
- Is there any chance you could drive me to the station?
- Would you mind taking the lead on this project?
- I really could use your help.
Lesson 77 発言タイプ:依頼③ 依頼を成功に導く流れ1 ──事前の感謝
Could you ask her to come here? I’d be very grateful.
「I’d [I would] 〜」がポイントです。この would は、「そうしていただけると」といった条件をおりこみ、あらかじめ感謝をのべることによって依頼の成功率をあげます。「頼み事→事前の感謝」の流れを身につけましょう。
- Would you mind turning on your video? I’d appreciate it.
- Would it be possible for you to walk me through the steps? I’d be much obliged.
- Could you fold the laundry for me? That would be a great help.
Lesson 78 発言タイプ:依頼④ 依頼を成功に導く流れ2 ──報酬の提示
Would you set it up for me, please? I’ll owe you one.
「I’ll owe you one.」は「ひとつ借りができます(あとでお返しします)」ということです。返礼が報酬の提示となっています。「依頼→報酬の提示」の流れをつかいましょう。
- Could you please lend me your car? I’ll fill up the tank.
- I’m wondering if you could help me move. Drinks are on me after we finish.
- Would you mind hosting the party? I’ll cover the cost of catering.
Lesson 79 発言タイプ:依頼⑤ 現状説明から依頼
Onishi-sensei asked me to write some English test questions this week, but I’m really busy. Would you mind doing them?
「現状説明→依頼」の流れを身につけましょう。
- I’m expecting an important phone call, but I need to get in the shower. Will you answer my phone if it rings?
- The company baseball team has a game this weekend, but one of our players got sick. We need someone to fill in. Could you?
- I really want to meet the band in person, but I can’t get backstage without an invite. I was wondering if you could get me on the list?
*
今月は、「動かす」のつづきとして指示・依頼のいいかたを練習しています。指示・依頼も ある方向に人を「動かす」言語活動です。
たとえば「禁止です」とただ言っただけではなかなかうけいれてもらえないのでその論拠ものべるようにします。相手にうけいれてもらえるように工夫しなければなりません。相手が納得する理由をのべたり、おかれている状況を説明したりします。
You must not use portable media. It’s against company policy.
Lesson 72
(携帯用媒体を使うことはできません。会社の方針に反します。)
また たのみごとを相手にする依頼文では助動詞をしばしばつかいます。要求を直接 相手にぶつけないようにします。
Hey, will you watch the kids?
Lesson 74
(ねぇ、子どもたちを見ていてくれる?)
will をつかって、相手の「意志」をたずねる体裁をとることで命令文よりもやわらかい文になります。
メッセージを的確につたえ、うけいれてもらうためには、相手をみたり、相手の話をきいたりするだけでなく、相手をとりまく環境や背景、今おかれている状況もとらえなければなりません。しかし背景や状況は直接 観察できない場合がおおく、記憶をひっぱりだしながら理解します。
情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からとらえなおすと、相手をみたり話をきいたりすることはインプットですが、背景や環境・状況を理解するのはプロセシングといってよいでしょう。このようなインプットとプロセシングをふまえて言葉をアウトプットします。インプット→プロセシング→アウトプットを意識すると練習の効果がさらにあがるとおもいます。言葉とは、言葉になるまえに、心のなかに生じたことや認識したことを言葉(シンボル)にしたものです。
▼ 関連記事(2023年度 NHK ラジオ英会話)
会話の原則・発言タイプ(NHK ラジオ英会話, 2023.04)
会話を始める・正しく理解する(NHK ラジオ英会話, 2023.05)
提案・申し出・アドバイス・約束(NHK ラジオ英会話, 2023.06)
指示・依頼(NHK ラジオ英会話, 2023.07)
引き出す・感情を操作する(NHK ラジオ英会話, 2023.08)
感情・行動・考え方を操作する(NHK ラジオ英会話, 2023.09)
さまざまな応答・知識(NHK ラジオ英会話, 2023.10)
判断を表現する(NHK ラジオ英会話, 2023.11)
判断・これから(NHK ラジオ英会話, 2023.12)
感情表現(1)(NHK ラジオ英会話, 2024.01)
感情表現(2)(NHK ラジオ英会話, 2024.02)
会話をするということ(NHK ラジオ英会話, 2024.03)
▼ 関連記事(2020年度 NHK ラジオ英会話)
場面を想像する - 会話の流れを作る「基本接続詞」(NHK ラジオ英会話, 2020.04)-
反応をよくする -「会話の重要な流れ」(NHK ラジオ英会話, 2020.05)-
例示と比喩 -「会話を豊かに展開しよう」(NHK ラジオ英会話, 2020.06)-
ひとまとまりの内容をはなす -「プレゼンテーションを支える表現」(NHK ラジオ英会話, 2020.07)-
情報の流れをよくする -「会話の台本 ①」(NHK ラジオ英会話, 2020.08)-
状況に応じてつかいわける -「会話の台本 ②」(NHK ラジオ英会話, 2020.09)-
不完全さにたえる -「会話の台本 ③」(NHK ラジオ英会話, 2020.10)-
流れのなかに身をおく -「会話の台本 ④」(NHK ラジオ英会話, 2020.11)-
その場をのりきる -「会話の台本 ⑤」(NHK ラジオ英会話, 2020.12)-
情報処理における記憶法 -「会話の台本 ⑥」(NHK ラジオ英会話, 2021.01)-
インプットとアウトプット -「会話の台本 ⑦」(NHK ラジオ英会話, 2021.02)-
情報を統合してアウトプットする -「会話の台本 ⑧」(NHK ラジオ英会話, 2021.03)-
▼ 関連記事(英語一般)
英語でアウトプット!(英会話関連記事リンク集)
▼ 参考文献 & 音声教材
『NHK ラジオ英会話』(2023年7月号、NHK テキスト)NHK 出版、2023年
『NHK CD ラジオ英会話』(2023年7月号)NHK 出版、2023年
(冒頭写真:イングランド, ロンドン, タワーブリッジ(Tower Bridge, London, England), 1999年, 筆者撮影)