文法、イメージング、応用・実践という3段階をふんで学習します。3段階(3年)を1サイクルにし、そのサイクルを3回つみかさねます。階層的に心がはたらきます。
NHK ラジオ英会話、今月は、「会話の原則」を中心にして、これまでつちかってきた英語力を会話力に発展させています。
Lesson 221 会話の原則 ⑨:NAGARE〈流れ〉 興味を示す1──反応し会話の「流速」を上げる
It was fantastic ― Really?
相手の発言に「本当に?」と合いの手をいれ、会話の「流速」をあげます。
同様な表現も練習しておきましょう。
- Yeah?(そうなの?)
- Uh-huh.(うんうん。)
- And?(それで?)
Lesson 222 会話の原則 ⑩:NAGARE 興味を示す2──あいづちを打つ
They were talking about pyramids. — Were they?
「あいづち疑問文」をつかって会話の勢いをとめないようにします。
- I can drive you home. — Oh, can you?
- I’ve been to Hawaii. — Oh, have you?
- Cath likes to binge-watch horror movies. — Oh, does she?
Lesson 223 会話の原則 ⑪:NAGARE 引いて押せ1
Yeah, but I’m still a musician.
「引いて押す」呼吸をつかっていい雰囲気をたもちます。Yeah, but 〜(うん、でも~)と、相手の発言を一度うけいれてから自説を展開します。
- Very true, but 〜
- That’s interesting, but 〜
- I can understand how you feel, but 〜
Lesson 224 会話の原則 ⑫:NAGARE 引いて押せ2
I agree with you up to a point, but I’ve written several books on the topic of Atlantis.
相手の言い分をまずみとめ、それから自説を展開します。相手の意見を尊重することが議論にももとめられため「引いて押す」呼吸は議論にも有効です。
- You’re right up to a point, but 〜
- You have a point, but 〜
- I get where you’re coming from, but 〜
Lesson 226 会話の原則 ⑬:NAGARE 話題転換1
While we are on the subject of Zaytox, we have found something unusual.
while we are on the subject of 〜 は、 while(~の間に)をもちいた「~の話のついでに言うと・~と言えば」、「ゼイトクス」を起点にして自分が話題にしたい内容に流れをみちびきます。現在進行中の話題から方向を上手に転換します。
- Come to think of it, 〜
- Speaking of food, 〜
- That reminds me.
Lesson 227 会話の原則 ⑭:NAGARE 話題転換2
Before I forget, I received a birthday card from Roxy.
before I forget により、それまでの話題を転換して別の話題にうつします。
- Changing the subject, we need a theme for tomorrow’s meeting.
- By the way / Putting that aside, how do you like your new apartment?
- Anyway [In any case], the guests will arrive soon. We should get ready.
Lesson 228 会話の原則 ⑮:NAGARE 相手の意見を尋ねる
What is your view on UFOs?
「どう思う?」と反射的にたずねます。相手の意見を尋ねることは日常頻繁にあります。view は「ものの見方・意見」、on は「~に関して」、about よりもピンポイントな感触の表現です。
- Don’t you think (so)?
- How do you see it?
- This apartment is too small for me. What do you think?
Lesson 229 会話の原則 ⑯:NAGARE 発言を遮る
Hang on a minute.
相手の発言をさえぎります。のぞまぬ会話の流れを感じたときには、しっかりと自信をもってつかうべき表現です。
- Just a minute. [Wait a minute.]
- Before you go any further, 〜
- Do you mind if I say something here?
Lesson 231 会話の原則 ⑰:NAGARE 発言権を取り戻す
If I could just finish . . .
just で強調をくわえながら、「もし最後まで言うことができたら……」と発言します。相手に発言をさえぎられても最後まで発言します。
- Just hear me out.
- Listen.
- Do you mind? I haven’t finished.
Lesson 232 会話の原則 ⑱:NAGARE 会話を拒否する
That’s none of your business.
「関係ありません・余計なお世話だ」と、相手の干渉を拒否します。非常に敵対的にひびき、相手の憤慨を覚悟する必要があります。
- Keep [Stay] out of it.
- Come off it.
- Leave me alone.
Lesson 233 会話の原則 ⑲:HAIRYO〈配慮〉 相手の心情に配慮する
I don’t mean to be rude, but he is not so well known outside of Japan.
相手を不快にさせるかもしれない内容の前に、I don’t mean to be rude, but 〜(失礼なことを言うつもりはありませんが、~)とクッションをおきます。
- No disrespect intended, but 〜
- Sorry [Excuse me], but 〜
- I hope you don’t mind (me saying), but 〜
Lesson 234 会話の原則 ⑳:HAIRYO ショックを和らげる
It is hard to tell you this, but Dr. Stein is in the hospital.
相手にとって不都合な内容をつたえなくてはならないときには前置き(クッション)をいいます。クッションによって相手は心の準備ができます。
- I hate to say this, but 〜
- I’m afraid 〜, but … ~
- Unfortunately / Actually, I’m too busy at the moment.
Lesson 236 会話の原則 ㉑: HAIRYO やわらかく意見を述べる
I don’t think you should work so much.
I think(私は思う)を加え I don’t think you should 〜 とし、やわらかく表現します。表現をやわらげるコツのひとつは、この例のように「思います」と主観をくわえるところにあります。
- I’m afraid / I feel this is not the right time to 〜.
- It feels like you’re missing my point.
- I can’t help thinking / feeling 〜.
Lesson 237 会話の原則 ㉒: HAIRYO 情報の切り分け
As far as I know, there are no aliens here.
「私の知るかぎり」と情報を切り分けることによって相手の誤解とそれが間違っていたときの非難をさけます。
- To the best of my knowledge, 〜
- Personally, 〜
- According to 〜,
Lesson 238 発言タイプ:感謝 ありがとう
Thank you for coming to see me.
感謝の理由を for 〜 でのべます。
- I’m very grateful for that.
- Much appreciated.
- I’d [I would] really appreciate it.
Lesson 239 発言タイプ:さようなら 「さようなら」の前にひと言
Thank you both for taking good care of me. See you around.
印象にのこる言葉をそえて相手への感謝をくわえ、わかれのドラマを演出します。ていますね。
- See you (later). [Take care (of yourself). / (Good-)bye. / Cheers.](Cheersはイギリス英語)
- From the bottom of my heart, thank you for everything. See you later.
- It’s been an honor and a pleasure to work with you. Take care.
*
本年度は、日常会話でよくでてくる会話のパターンを網羅的に学習しました。
大西泰斗先生らが指導するラジオ英会話は、1年目は英語の原則(英文法)、2年目はイメージング、3年目は応用・実践という、3年を1サイクルとしてすすめられ、2023年度は、第2サイクルの3年目にあたっていました。来年度は、第3サイクルの1年目、ふたたび英文法にとりくむそうです。従来の “学校英文法” や “受験英語” にとらわれない、会話や実践に直結する英文法がまなべます。
こうみてくると、おなじことをくりかえしているだけじゃないかとおもう人がいるかもしれませんが、くりかえすことによって、インプットした情報が心のふかい領域に定着します。すると意識しなくてもつかえるようになります。
わたしが学校でかつてであった教師には2つのタイプがいました。
教師A「このまえそれは教えたじゃないか。俺は、同じ事は二度と言わないぞ」
教師B「重要なことは、同じことでも何回も言います。重要な事柄は、シンフォニーの主題のようにくりかえしでてきます」
Aは薄っぺらな教師、Bはすぐれた教師でした。
2024年度のラジオ英会話がふたたび文法にとりくむとなると、2025年度はイメージング、2026年度は応用・実践という流れになるだろうと予想できます。3年(3段階)を1サイクルにし、そのサイクルを3回つみかさねるという構成であり、これ(3段階→3サイクル)は階層構造になっています。「3段階循環モデル」としてモデル化することもできます。
3段階を基本とし、それを、サイクリックに階層的に累積すれば堂々巡りにはなりません。おなじところをぐるぐるまわっているわけではなく、展開し発展します。情報が、無意識の領域(潜在意識)におりていき根をはります。物事の本質がとらえられます。
このような心の働きに気づかせてくれるのもラジオ英会話のすごいところです。
▼ 関連記事(2023年度 NHK ラジオ英会話)
会話の原則・発言タイプ(NHK ラジオ英会話, 2023.04)
会話を始める・正しく理解する(NHK ラジオ英会話, 2023.05)
提案・申し出・アドバイス・約束(NHK ラジオ英会話, 2023.06)
指示・依頼(NHK ラジオ英会話, 2023.07)
引き出す・感情を操作する(NHK ラジオ英会話, 2023.08)
感情・行動・考え方を操作する(NHK ラジオ英会話, 2023.09)
さまざまな応答・知識(NHK ラジオ英会話, 2023.10)
判断を表現する(NHK ラジオ英会話, 2023.11)
判断・これから(NHK ラジオ英会話, 2023.12)
感情表現(1)(NHK ラジオ英会話, 2024.01)
感情表現(2)(NHK ラジオ英会話, 2024.02)
会話をするということ(NHK ラジオ英会話, 2024.03)
▼ 関連記事(2020年度 NHK ラジオ英会話)
場面を想像する - 会話の流れを作る「基本接続詞」(NHK ラジオ英会話, 2020.04)-
反応をよくする -「会話の重要な流れ」(NHK ラジオ英会話, 2020.05)-
例示と比喩 -「会話を豊かに展開しよう」(NHK ラジオ英会話, 2020.06)-
ひとまとまりの内容をはなす -「プレゼンテーションを支える表現」(NHK ラジオ英会話, 2020.07)-
情報の流れをよくする -「会話の台本 ①」(NHK ラジオ英会話, 2020.08)-
状況に応じてつかいわける -「会話の台本 ②」(NHK ラジオ英会話, 2020.09)-
不完全さにたえる -「会話の台本 ③」(NHK ラジオ英会話, 2020.10)-
流れのなかに身をおく -「会話の台本 ④」(NHK ラジオ英会話, 2020.11)-
その場をのりきる -「会話の台本 ⑤」(NHK ラジオ英会話, 2020.12)-
情報処理における記憶法 -「会話の台本 ⑥」(NHK ラジオ英会話, 2021.01)-
インプットとアウトプット -「会話の台本 ⑦」(NHK ラジオ英会話, 2021.02)-
情報を統合してアウトプットする -「会話の台本 ⑧」(NHK ラジオ英会話, 2021.03)-
▼ 参考文献 & 音声教材
『NHK ラジオ英会話』(2024年3月号、NHK テキスト), 2024年, NHK 出版
『NHK ラジオ英会話 音声(Audible版(上)』, (2024年3月号), 2024年, NHK 出版
『NHK ラジオ英会話 音声(Audible版(下)』, (2024年3月号), 2024年, NHK 出版
(冒頭写真:イングランド, ロンドン, パレスシアター(The Palace Theatre, London, England), 1999年, 筆者撮影)