さまざまな応答・知識(NHK ラジオ英会話, 2023.10)

情報処理

賛成・反対をつねに明瞭にいうわけではありません。何語でも、どんなことでも、どうにでもいえます。主体性の問題です。

Lesson 121 申し出への応答 ① 申し出に気軽に応じる

Sounds good.

(That) sounds good. 相手の申し出などに気軽に応じます。

おなじようにつかわれるほかの表現も練習おぼえておきましょう。

  • Can you give me a ride?
  •  — No problem (at all). [No trouble at all.]
  •  — OK. [Sure (thing).]
  •  — Of course.
  •  — Certainly.
  •  — Gladly. [I’d be happy to.]
Lesson 122 申し出への応答 ② 申し出を断る

I’m sorry, I’d love to go, but I’m busy on Saturday.

相手の申し出をうまくことわります。「ダメです」だけでは角がたちます。

  • Can you give me a ride?
  •  — Sorry, I can’t. My car broke down.
  • May I leave work early?
  •  — I’m afraid I can’t let you. We’re short-staffed today.
Lesson 123 意見・考えへの応答 ① 同意する

I feel the same way.

相手の意見・考えに賛同します。

  • I agree with you.
  • I think so, too.
  • That’s a good point [idea].
Lesson 124 意見・考えへの応答 ② 強く同意する

I couldn’t agree more.

つよい同意をあらわします。「これ以上賛成できないでしょう」=「大賛成」となります。

  • I’m all for that.
  • This is the best learning method.
  •  — Absolutely.
  •  — 100%.
  •  — That’s for sure. [You’ve got that right.]
Lesson 126 意見・考えへの応答 ③ 含みを残して同意する

I suppose you have a point there.

suppose は、手持ちの情報や知識(土台)にもとづいて「思う」であり、I suppose には「そうではない」可能性の含みが感じられます。「思う」系の単語をつかえば全面的な賛同から距離をとることができます。

  • I think I agree with 〜.
  • You’re probably right.
  • You could be right.
Lesson 127 意見・考えへの応答 ④ 同意しない

I completely disagree.

不同意をあらわします。completely をくわえればよりつよい不同意をしめせます。

  • I can’t agree.
  • That’s not true.
  • I don’t see it that way.
Lesson 128 意見・考えへの応答 ⑤ 強い不同意

Are you serious?

つよい不賛成をあらわします。シリアスな状況でも冗談めいた発言でもつかうことができます。日本語でも、「本気で言っているのですか?」といいます。

  • You must be joking! [You’ve got to be kidding!]
  • No way!
  • Don’t give me that.
Lesson 129 意見・考えへの応答 ⑥ 不同意のクッション

I hate to disagree, but it’s not really necessary.

相手の気分を害さずに上手に不同意をつたえるために、hate をつかい、効果的なクッションとします。

  • I’m sorry, but I can’t agree.
  • I’m afraid that’s not how I see it.
  • Not to [I hate to / I don’t mean to] contradict you, but that isn’t necessary.
Lesson 131 意見・考えへの応答 ⑦ いったん引いて不同意を伝える

I agree with you up to a point, but e-books take up less space.

この文では、対立する意見をそのままぶつけずに「ある程度は同意しますが」と「引く」ことによってショックをやわらげます。会話では、「引いて押す」呼吸が大事です。

  • I see [take / get] your point, but 〜.
  • I see [get / understand] what you mean, but 〜.
  • I understand [get] where you’re coming from, but 〜.
  • I hear you, but 〜.
Lesson 132 意見・考えへの応答 ⑧ 判断の留保

I can’t say.

「言えない=わからない」(何とも言えません)という表現です。賛成も反対もできず、答えを留保したいときにつかいます。

  • I can’t say for sure.
  • It’s not easy to say.
  • I wouldn’t like to say.
Lesson 133 好意的な発言への応答 ① 感謝を示し、前向きな発言を加える

That’s so kind of you.

相手の発言や行動に感謝をつたえます。of you(あなたが)と kind に説明をくわえています。前向きなひと言を感謝にくわえる流れをつくるとよいでしょう。

  • Would you like some quiche?
  •  — Yes, please. It looks delicious.
  • I recommend the calzone.
  •  — OK, thanks. I’ll try it.
  • You need to cut back on junk food.
  •  — Thanks for the advice. I’ll try.
Lesson 134 好意的な発言への応答 ② 感謝を示しながら辞退する

I appreciate your advice, but it’s not for me.

まず感謝します。相手の好意を無にしないための「 HAIRYO〈配慮〉」が必要です。

  • Thank you, but I don’t want to impose on you.
  • That’s a good suggestion, but I actually don’t have a license.
  • No, thank you. I’m already full, I’m afraid.
Lesson 136 知識 ① know の使い方

I know a little about his art.

「~についてちょっぴり知っている」ときにつかいます。

  • I know little about him.
  • I know a lot / all / nothing about Beethoven.
  • I know of Ansel Adams.

know of は「名前や評判を聞いたことがある」程度の知識をしめします。間接的であり非常にかぎられた知識であり、よくは知らないことをあらわします。

Lesson 137 知識 ② 知らない

Who knows?

「誰が知っているのか?→誰も知らない」となり、 Nobody [No one] knows. とおなじ意味でつかえます。

  • It’s beyond me.
  • Search me. [(It) beats me.]
  • That’s over my head.
Lesson 138 知識 ③ know 以外の動詞を使った「知っている」

I heard that someone strange went into the shogi club room with him.

この文では、heard は、「音が聞こえました」という意味ではなく、「聞いて 知っている」までをふくみます。

  • I’ve never heard of such a thing.
  • I can tell the difference.
  • Rumor has it [It is rumored] that we’re getting downsized.
Lesson 139 知識 ④ 表現するのが難しい知識

It can get very cold at night there.

助動詞 can のイメージは「潜在」であり、対象物に秘められた能力(~できる)、自由度(~していい)のほか、この文のように「潜在的な可能性(~しうる・時に~することもある)」もあらわせます。

  • Humans are social animals.
  • I jog every morning.
  • Accidents will happen.

恒久的な真理・習慣は現在形が得意とする領域です。「広く安定した状況」を現在形はあらわします。また法則は、will の得意な領域です。will のイメージは「見通す」であり、そこから、「見通すことができる=法則」のつかいかたがうまれます。ことわざなどにみられる、「~するものだ」や「よく~する」といった習慣、「~したものだ」という過去の習慣をあらわせます。

英語は、日本語とはちがい、賛成・反対、イエス・ノーをはっきりいう言語だとおもっている人がいますがそれは誤解です。賛成・反対をいつも明瞭にあらわすわけではなく、「わかりません」、「こたえたくありません」ともいえます。

英語でも日本語でも、はっきりいいたければはっきりいえますし、あいまいにしたければあいまいにいえます。やわらかくいいたければやわらかくいえますし、すこしは しっているがよくわからないときにはそのようにいえます。

したがって日本語はあいまいで非論理的な言語であるという意見も否定されます。日本語でも英語でもドイツ語でもネパール語でもヒンディー語でもタイ語でも、どんなことでも、どうにでもいえます。

自分のメッセージをどのようにつたえるかが大事なのであって、それは言語の問題ではなく、主体性の問題です。何をどういうかは自分できめればよいことであり、言語がきめることではありません。言語は手段にすぎません。

今月のレッスンでは、「こんなときには、こういえばいいんだ」と、さまざまな表現を練習することができました。みずからの主体性や言葉の本質をとらえなおすこともできました。

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▼ 参考文献 & 音声教材
『NHK ラジオ英会話』(2023年10月号、NHK テキスト), 2023年, NHK 出版
『NHK CD ラジオ英会話』(Audible版, 2023年10月号), 2023年, NHK 出版

▼ 関連教材

(冒頭写真:イングランド, ロイヤル・アルバート・ホール(Royal Albert Hall, London, England), 1999年, 筆者撮影)

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