日本語の作文法 ー 原則をつかう ー

情報処理

ながい修飾語ほど先に配置します。ながい修飾語が2つ以上ある場合と原則の逆に語順がなる場合にテンをうちます。「○○は」として題目をあらわします。

(2019年5月27日発行)
(2022年8月11日更新)

人間は、目でみたり耳できたり鼻でかいだり舌で味わったり肌で感じたり、つまり、感覚器官をつかって環境(外界)から内面に情報をインプットし、そしてイメージしたり記憶したりかんがえたり、プロセシングを心のなかですすめます。わたしたちは、このようなインプットとプロセシングにもとづいて書いたり はなしたりして情報をアウトプットしており(図1)、日本人や日本語をまなぶ外国人にとって日本語の作文はアウトプットの手段としてとても重要であり、作文法はそのために役だちます。

図1 作文によりアウトプットする
図1 作文によりアウトプットする

日本語の原則

これまでのわたしのブログ記事にもとづいて日本語の原則を以下のようにまとめます。日本語にも原則があり、原則にもとづいて練習すればわかりやすい日本語が誰でも書けるようになります。

1. 語順の原則
  • 1-1. 述部(動詞・形容詞・形容動詞)が最後にくる。
  • 1-2. 形容する詞句が先にくる(修飾辞が被修飾辞の前にくる)。
  • 1-3. ながい修飾語ほど先に。
  • 1-4. 句を先に。
2. テンの原則
  • 2-1. ながい修飾語:ながい修飾語が2つ以上あるときにその境界にテンをうつ。
  • 2-2. 逆順:原則の逆に語順がなったときにテンをうつ。
3. 助詞の原則
  • 3-1. 係助詞「は」は題目をあらわす(「は」の本務)。
  • 3-2. 係助詞「は」は、格助詞「が」「の」「に」「を」を兼務する。
  • 3-3. 格助詞「が」は主格をしめす。
  • 3-4. 格助詞「の」は連体格(属格)をしめす。
  • 3-5. 格助詞「に」は位置格・方向格をしめす。
  • 3-6. 格助詞「を」は対格をしめす。
4. 漢字とカナの原則
  • 漢字とカナを併用して視覚的にわかりやすくする。
5. 知的生産の原則
  • 5-1. 並列的な編集から直列的な表現へ。
  • 5-2. 情報を統合する
6. 段落の原則
  • 6-1. 物語法:時間的ながれのなかのひとつの場面を段落にする。
  • 6-2. 類比法:類似した情報をひとまとまりにして段落にする。
7. 階層の原則
  • 段落、節、章というように階層的に情報をファイルする。

***

初 級

本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』(朝日文庫)にもとづいて語順とテンの原則について説明します。

1. 語順の原則

1-1. 述部(動詞・形容詞・形容動詞)が最後にくる。
  • 女の子が生まれた。

「生まれた」という述部が文の最後にきます。

1-2. 形容する詞句が先にくる(修飾辞が被修飾辞の前にくる)。
  • うれしそうな生徒たち。

「うれしそうな」が「生徒たち」の前にきます。

1-3. ながい修飾語ほど先に。
  • 東南県立熱帯地域植物園のガイド
  • 博識なガイド
  • よいガイド

「ガイド」にかかる言葉をまとめてひとつにするとたとえばつぎのようになります。

  • 3a 東南県立熱帯地域植物園の博識なよいガイド
  • 3b 東南県立熱帯地域植物園のよい博識なガイド
  • 3c 博識なよい東南県立熱帯地域植物園のガイド
  • 3d よい博識な東南県立熱帯地域植物園のガイド

語感がもっともよく、わかりやすく誤解がないのは「ながい順」に機械的に単にならべた 3a です。

1-4. 句を先に。
  • 東南県立熱帯地域植物園のガイド
  • とおくから通勤しているガイド
  • よいガイド

「ガイド」にかかる言葉をまとめてひとつにするとたとえばつぎのようになります。

  • 4a 東南県立熱帯地域植物園のとおくから通勤しているよいガイド
  • 4b とおくから通勤している東南県立熱帯地域植物園のよいガイド

4b は、「1-3. ながい順」の原則に反してみじかい修飾語が先にきているにもかかわらず、むしろ誤解がすくなくてわかりやすいです。これが「1-4. 句を先に」の原則です。つぎの例もみてください。

  • 東南県立熱帯地域植物園のガイド
  • 環境保全を解説するガイド
  • よいガイド

同様につぎのようになります。

  • 4c 東南県立熱帯地域植物園の環境保全を解説するよいガイド
  • 4d 環境保全を解説する東南県立熱帯地域植物園のよいガイド

4d は、「1-3. ながい順」の原則には反していますが「1-4. 句を先に」の原則にしたがって誤解がすくなくわかりやすいです。4c は、親和力がはたらくため、「東南県立熱帯地域植物園の環境保全」であるかのように誤解されます。句になると、句内部の文節の結合力と外部との親和力とがきそって、言葉によっては外部との親和力のほうが勝ってしまいます。しかし句であっても、相対的に非常にみじかければ「1-3. ながい順」のままでも不自然ではありません。

  • 東南県立熱帯地域植物園のガイド
  • 顔が四角いガイド
  • よいガイド
  • 4e 東南県立熱帯地域植物園の顔が四角いよいガイド
  • 4f 顔が四角い東南県立熱帯地域植物園のよいガイド

4e のほうがいいです。

2. テンの原則

2-1. ながい修飾語:ながい修飾語が2つ以上あるときその境界にテンをうつ。
  • 太郎が花子を一郎に紹介した。

これはテンを必要としません。しかしつぎのようなながい修飾語が太郎・花子・一郎につくとどうでしょうか。

  • どんなことでもよく知っている博学な太郎
  • 美術も音楽も得意なとてもうつくしい花子
  • 小学校から高校まで同級生だった一郎
  • どんなことでもよく知っている博学な太郎が美術も音楽も得意なとてもうつくしい花子を小学校から高校まで同級生だった一郎に紹介した。

とてもわかりにくいので、テンの原則「ながい修飾語」にしたがってテンをうちます。

  • どんなことでもよく知っている博学な太郎が、美術も音楽も得意なとてもうつくしい花子を、小学校から高校まで同級生だった一郎に紹介した。

さらに、つぎの修飾語をくわえるとどうでしょうか。

  • はなはだ余計なことだとおもいつつも
  • どんなことでもよく知っている博学な太郎が、美術も音楽も得意なとてもうつくしい花子を、小学校から高校まで同級生だった一郎に、はなはだ余計なことだとおもいつつも紹介した。

「一郎に」のあとに原則にしたがってテンをうちます。

n 個のながい修飾語があるときは( n ー 1 )個のテンが必要になります。重文の境目にうたれるテンもこの「ながい修飾語の原則」によるものです。

2-2. 逆順:語順が逆になったときにテンをうつ。
語順 1-1 の逆順
  • 女の子が生まれた。

これを逆順にすると・・・

  • 生まれた女の子が。

となりますがこれでは非文法的ですので、テンの原則「逆順」にしたがってテンをくわえます。

  • 生まれた、女の子が。
語順 1-2 の逆順
  • うれしそうな生徒たち。

これを逆順にすると・・・

  • 生徒たちうれしそうな。

これもテンをくわえないと非文法的です。

  • 生徒たち、うれしそうな。
語順 1-3 の逆順
  • どんなことでもよく知っている博学な太郎
  • とてもうつくしい花子
  • 一郎
  • どんなことでもよく知っている博学な太郎がとてもうつくしい花子を一郎に紹介した。

これは語順3 の「ながい順」にしたがっているのでテンはいりません。ところが「一郎に」を強調するために冒頭にもってくると、

  • 一郎にどんなことでもよく知っている博学な太郎がとてもうつくしい花子を紹介した。

たちまちわかりにくくなります。これは語順が原則の逆順だからであり、こういうときには「一郎に」のあとにテンをうちます。

  • 一郎に、どんなことでもよく知っている博学な太郎がとてもうつくしい花子を紹介した。

このタイプの文はたくさんみられます。

  • わたしは、今年の夏もたぶん暑くなるのではないかとおもった。

この文で、「わたしは」のあとにテンが必要なのは、テンの原則「逆順」が単にはたらくからであり、それ以外の理由はありません。「1-3. ながい順」にしてテンをのぞけばつぎのようになります。

  • 今年の夏もたぶん暑くなるのではないかとわたしはおもった。

「わたしは」を強調したい、先にしめしたいという意志があるならば冒頭にもってきて、テンの原則「逆順」によりテンをうちます。これはきわめて機械的で単純な作業です。つぎのように、「わたしは」を冒頭にもってきてもほかの修飾語がみじかければテンはいりません。

  • わたしは寒いとおもった。

あるいは ながい修飾語が「わたしは」についている場合も「1-3. ながい順」の原則によりテンはいりません。

  • 気象予測研究所で予報業務に20年以上たずさわってきた(ながい修飾語)
  • 気象予測研究所で予報業務に20年以上たずさわってきたわたしは今年の夏もたぶん暑くなるのではないかとおもった。

「わたしは」(彼は、彼女はでも同様)と述部を直結させるか、あるいは「わたしは」のあとにテンをうつかは語順とテンの原則にあくまでもしたがいます。これは、英語などにみられる「主語-述語」という関係とは無縁であって、日本語には英文法はあてはまりません。

語順 1-4 の逆順
  • とおくから通勤している東南県立熱帯地域植物園のよいガイド

「1-4. 句を先に」の原則の逆順にするとテンが必要です。

  • 東南県立熱帯地域植物園の、とおくから通勤しているよいガイド

テンがないと、「東南県立熱帯地域植物園のとおくから通勤している」という誤解がうまれます。同様に、

  • 環境保全を解説する東南県立熱帯地域植物園のよいガイド
  • 東南県立熱帯地域植物園の、環境保全を解説するよいガイド

テンがないと、「南県立熱帯地域植物園の環境保全を解説する」と誤解されます。

思想のテン

以上のようにテンは、原則にしたがってうたなければならず、不要なテンはうってはなりません。とくに構文上 決してうってはならぬテンに十分 注意してください。

ただし筆者の思想の最小単位をしめす「思想のテン」があります。強調であれ、ふくみであれ、特別な意味をそこにこめてテンをうつことができます。これは自由なテンですが、筆者の文体であり思想だからこそかんがえぬかれたテンでなければならず、テンがおおくなりすぎると効果はなくなり、かえってわかりにくくなりますので必要だととくに感じたときにのみうつようにしてください。

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ホームページやブログや SNS などが普及して誰もが手軽に情報をアップ(アウトプット)できる時代になりました。しかしアウトプットの量がふえてくると情報の質が問題になります。よくできたアウトプットを誰もがしたくなります。そこで「語順とテンの原則」がまず役立ちます。これらをつかえば、わかりやすい文章をすぐに書くことができ、メッセージがただしく相手につたわります。

作文法の初級編としては語順とテンの原則を習得するのがよいでしょう。これらをつかいこなせるようになるだけでも作文能力は確実に向上します。そしてつぎに、「○○は」と「○○が」のつかいわけの練習にすすむとよいでしょう。

***

中 級

3. 助詞の原則

3-1. 係助詞「は」は題目をあらわす(「は」の本務)。

日本国憲法につぎの条文があります。

学問の自由は、これを保障する。(第二十三条)

この文は、まわりくどい感じがしますが日本語として問題ありません。これは、

  • 学問の自由についていえば、日本国憲法が学問の自由を保障する。

ということをしめしており、「学問の自由についていえば」は「学問の自由は」と簡略化でき、「日本国憲法が」はわかりきっているので省略し、「学問の自由を」は代名詞をつかって「これを」とできるので、「学問の自由は、これを保障する」と表現できます。「学問の自由は」の「は」には、題目(項目・話題・主題などといってもよい)を提示する機能があります。文中のテンは、「学問の自由は」という題目語を強調する役割をはたし、日本国憲法は、もれおちのないようにたくさんの題目からなり、題目ごとにまとめられていて、したがってそれが何についての条文なのかを明確にしめすために題目を強調しています。

ただしテンの原則によればここでテンはなくてもよく、

  • 学問の自由はこれを保障する。

とすることもできます。

3-2. 係助詞「は」は、格助詞「が」「の」「に」「を」を兼務する。

「学問の自由はこれを保障する」を構造的にしめすとつぎのようになります。

この文は、

  • 学問の自由は保障する。

とさらに簡略に表現できます。「学問の自由は」といえば「これを」も同時にしめせます。すなわち「学問の自由は」の「は」は題目をしめすとともに「これを」の「を」を兼務できます。これが係助詞「は」のはたらきであり、本務としては題目をしめし、くわえて格助詞「を」を兼務できるという二重の機能をもちます。

こうして、「学問の自由についていえば、日本国憲法が学問の自由を保障する」は、「学問の自由は、これを保障する」、さらに「学問の自由は保障する」と簡略化でき、最後の文が無駄のないもっとも簡潔な文です。

つぎの例もみてください。

  • 花子が太郎に秋子を紹介した。

この文は、「○○は」つまり題目語がない文であり、題目語がなくても文はなりたちます。しかしたとえば「花子」についてのべるならばという心もちで「花子」を題目にすることができ、その場合は、「花子が」を「花子は」とします。「○○は」とすることによって題目をしめせます。

  • 花子は太郎に秋子を紹介した。

この文は、「花子についてのべるならば花子が太郎に秋子を紹介した」ということであり、「花子についてのべるならば」は「花子は」とでき、そのあとの「花子が」は省略できます。このとき、「花子は」の「は」には「花子が」の「が」が潜在しており、「は」は「が」を兼務します。

あるいは「太郎」についてのべるならばという心もちで「太郎」を題目にすることもでき、その場合は、「太郎に」を「太郎には」とします。

  • 太郎には花子が秋子を紹介した。

この文は、「太郎についてのべるならば花子が太郎に秋子を紹介した」ということであり、「太郎についてのべるならば」は「太郎には」とでき、うしろの「太郎に」は必要ありません。

あるいは「秋子」についてのべるならばという心もちで「秋子」を題目にすることもでき、その場合は、「秋子を」を「秋子は」とします。

  • 秋子は花子が太郎に紹介した。

この文は、「秋子についてのべるならば花子が太郎に秋子を紹介した」ということであり、「秋子についてのべるならば」は「秋子は」とでき、「秋子を」は省略できます。このとき、「秋子は」の「は」には「秋子を」の「を」が潜在し、「は」は「を」を兼務します。

これらを模式的にしめすと下記のようになります。

「○○は」とすることによって、「○○が」「○○に」「○○を」を 題目語として提示することができます(題目語としてとりだすことができます)。

つぎの例もみてください。

  • 東北に大雨がふった。

この文は、「○○は」つまり題目語がない文であり、題目語がなくても文はなりたちますが、たとえば「東北」を題目にすることができ、その場合は、「東北に」を「東北は」にします。

  • 東北は大雨がふった。

こうすると、「東北についてのべるならば東北に大雨がふった」ということをあらわせ、「東北についてのべるならば」は「東北は」とでき、うしろの「東北に」は省略でき、このとき、「東北は」の「は」には「東北に」の「に」が潜在しており、「は」は「に」を兼務します。このように「は」は、方向格の「に」は兼務できませんが位置格の「に」は兼務できます。

つぎの例はどうでしょうか。

  • 北海道の夏がいい。

この文にも題目語はありませんが、たとえば「北海道」を題目にすることができ、その場合は、「北海道の」を「北海道は」とします。

  • 北海道は夏がいい。

「北海道についてのべるならば北海道の夏がいい」ということをあらわし、「北海道についてのべるならば」は「北海道は」とし、「北海道の」は省略でき、「北海道は」の「は」には「北海道の」の「の」が潜在し、「は」は「の」を兼務します。

以上のように、係助詞「は」は題目をあらわし(「は」の本務)、格助詞「が」「の」「に」「を」を兼務します(ただし「に」は、位置格の場合のみ兼務できます)。

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「○○は」によって題目をしめす - 学問の自由は保障する –
助詞をつかいこなす(2) - 対照の係助詞「ハ」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(3) - マデとマデニ(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(4) - 接続助詞の「ガ」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(5) - 並列の助詞(『日本語の作文技術』)-
わかりやすい日本語を書くために -『日本語の作文技術』-
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***

上 級

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類比法をつかった作文技法(1)- ウメサオタダオ展「はっけんカード」から –
類比法をつかった作文技法(2)- NHKラジオ英会話, 2018「おたよりコーナー」から –
類比法をつかった作文技法(3)- 内容をふかめる –
類比法をつかった作文技法(4)- NHKラジオ英会話, 2019「おたよりコーナー」から –
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わかりやすい日本語を書く(17) - ながい修飾語ほど先に –
わかりやすい日本語を書く(18) - テンの原則「ながい修飾語」-
わかりやすい日本語を書く(19) - テンの原則「逆順」-
わかりやすい日本語を書く(20) - 思想のテン –
わかりやすい日本語を書く(21) - 題目をあらわす「は」-
わかりやすい日本語を書く(22) - 特定の語句に焦点をあてる –
わかりやすい日本語を書く(23) - 題目と対照(1)-

参考文献

三上章著『象は鼻が長い - 日本文法入門 -』くろしお出版、1960年
三上章著『続・現代語法序説 - 主語廃止論 -』くろしお出版、1972年
本多勝一著『日本語の作文技術(新版)』朝日新聞出版、2015年(初版1976年)
本多勝一著『実戦・日本語の作文技術(新版)』朝日新聞出版、2019年(初版1994年)
川喜田二郎著『発想法(改版)』(中公新書)中央公論新社、2017年(初版1967年)
梅棹忠夫著『知的財産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年
栗田昌裕著『「速く・わかりやすく」書く技術』(ベスト新書)ベストセラーズ、2005年

※ 三上章著『象は鼻が長い - 日本文法入門 -』は、題目をあらわす「○○は」のつかいかたをくわしく解説し、「○○は」の「は」は、「が」「の」「に」「を」を兼務することをしめします。本書をよんで練習すれば、「○○は」と「○○が」のつかいわけができるようになります。

※ 三上章著『続・現代語法序説 - 主語廃止論 -』は、『象は鼻が長い』同様、「○○は」のつかいかたをくわしく解説しています。日本語は、すべての修飾成分が述部によって統括される述部中心の言語であり、述部以外はすべて、その「補足語」として機能します。したがって日本語には “主語” は存在しません。

※ 本多勝一著『日本語の作文技術』は、「修飾の順序」「句読点のうちかた」「助詞の使い方」などの基本技術をくわしく解説しています。日本語も、非常に少数の簡単な原則でなりたっていることがわかり、本書をよめば誰でもすぐに、わかりやすい日本語が書けるようになります。

※ 本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』は、『日本語の作文技術』の続編であり、日本語の作文技術(原則)を復習し、ブラッシュアップするために役だちます。とくに、「読点の統辞論」が参考になります。『日本語の作文技術』は帰納的にのべられているのに対し、『実戦・日本語の作文技術』は演繹的にのべられています。

※ 川喜田二郎著『発想法(改版)』は、フィールドワーク・定性的データの統合・問題解決に役だつ「KJ法」の基礎を解説しています。取材をしたらすぐに文章を書かず、図解をつくってから文章化をすすめます。人間主体の情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からいうと、取材法はインプットの、KJ法はアウトプットの方法であることに注目してください。

※ 梅棹忠夫著『知的生産の技術』は、知的生産の原理と技術についてくわしく解説しています。並列的な編集から直列的な表現へすすみ、情報を統合するという文章化の原理をまなんでください。具体的な技術として「こざね法」がつかえます。今日では、紙でできた道具はつかわずコンピューターをつかいますが、つかう道具はちがっても知的生産の本質は不変です。

※ 栗田昌裕著『「速く・わかりやすく」書く技術』は、「速く・うまく・わかりやすい」文章を書く「速書法」について解説しています。書くことにとどまらず知的能力をたかめます。「結果として速く書ける」ことを目指すのではなく、「速く書くことを追求する過程で、従来とは異なる意識の新しい領域を巻き込む」ことが重要です。

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(冒頭写真:六義園)

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