make, have, put, leave -「基本動詞 ①」(NHK ラジオ英会話, 2022.04)-

情報処理

単語のイメージをおもいうかべます。イメージと単語がひとまとまりになってファイルになります。心のなかにファイルをふやし活用します。

2022年度の NHK ラジオ英会話がはじまりました。今年度のテーマは「日本語を経由せずに表現する」です。基本単語をイメージで理解し、そのまわりにある表現を効果的に音読・暗唱します。基本動詞そして前置詞、形容詞へすすんでいきます。トップバッターは make です。

Lesson 1 make の基本イメージ

I’m sure you made the right decision.

make のイメージは「力を加えて作り上げる」です。

Lesson 2 make it

I’m not sure if we’ll make it to the planned landing site.

「力を加えて作り上げる」が、努力をして目的を達成することにつながります。

Lesson 3 make のとるさまざまな形 ①

She made me this Mexican bracelet.

目的語が2つの「授与型」です。

Lesson 4 make のとるさまざまな形 ②

It made me a little homesick.

「目的語説明型」でもつかえます。

Lesson 6 make のとるさまざまな形 ③

You can’t make her love you.

「目的語説明型」です。「力を加えて(強制的に)」状況を「作り上げる」ニュアンスがあります。

Lesson 7 have の基本イメージ

He will have blond hair and green eyes.

have のイメージは「周りにある」であり、位置をあらわす、うごきのない静的なイメージです。

Lesson 8 have の「権利・影響力」

We have a new piano in our house!

have のイメージは「周りにある」です。

Lesson 9 have の表す行為

You can have my camera.

have は「周りにある」位置関係をあらわし、位置関係から間接的に類推される行為をあらわすことがあります。

Lesson 11 have の目的語説明型 ①

Could you please have my order ready by seven?

「my order = ready by seven」の状況を「have する」というわけです。

Lesson 12 have の目的語説明型 ②

I’m not having you walk home alone in this rain.

「周りにある」イメージの延長、「許す・大目に見る」のつかいかたです。

Lesson 13 put の基本イメージ

I never put milk in my tea.

put は、「何かを・どこかに・ポンと移動する」というシンプルなイメージです。

Lesson 14 put のイメージを豊かに広げよ

Sure, as long as it doesn’t put too much pressure on the band.

「何かを・どこかに・ポン」というイメージです。

Lesson 16 put でネイティブスピーカーのイメージの広げ方を理解する

That’s why I am putting you in charge of the advertising department.

put が「何かを・ポン」する場所は、日本語の「置く」よりはるかに多彩です。

Lesson 17 leave の基本イメージ

It’s tough leaving this company.

leave のイメージは「ある場所から去る」です。

Lesson 18 leave のもうひとつの焦点

I left my wallet in the train.

leave のイメージは「ある場所から去る」ですが、「去る」という行為に注目する場合と「残されたモノ」に注目する場合(視点のちがい)があります。ここでは、「残されたモノ」に注目しています。


Lesson 19 leave の目的語説明

Don’t leave your valuables unattended.

「残されたモノ」に焦点があるつかいかたでは目的語説明型がとくに重要です。

今年度は、基本単語のイメージを身につけ、つかいこなします。たとえば make のイメージは図1のとおりです。

make
図1 make のモデル
(Lesson 1 の図を改変)

「力を加えて作り上げる」というイメージ(絵)のシンボル(符号)が「make」という単語です。イメージとシンボルがまとまって「ファイル」(情報のひとまとまり)をつくり、イメージはファイルの本体、単語はファイルの見出し(ファイル名)として機能します(図2)。

図2 ファイルのモデル

こうして make からイメージをおもいうかべ、イメージをおもいうかべて make をつかいます。英単語→日本語、日本語→英単語ではなく、英単語→イメージ、イメージ→英単語の練習をくりかえします。イメージは容易に記憶に定着するため、このようなイメージ訓練(心象法)はそのまま記憶法に発展します。視覚情報をつかうのは記憶法の基本でもあり、文字情報→視覚情報、視覚情報→文字情報の変換は記憶法のなかの「変質法」(注)の練習といってもよく、このような情報の質的変換は創造性開発にもつながります。

同様に、have のイメージは「周りにある」であり(図3)、put は「何かを・どこかに・ポン」であり、leave は「ある場所から去る」です。これらについてもイメージをおもいうかべます。

図3 have のモデル
図3 have のモデル
(Lesson 7 の図を改変)

たとえば Lesson 12「I’m not having you walk home alone in this rain.(私は、あなたをこの雨の中ひとりで歩いて帰らせたりはしませんよ。)」の have は、「使役動詞」と学校ではおしえられましたがこのような用語にとらわれる必要はなく、「周りにある」イメージを拡張させます。have は動きを感じさせない動詞であり、「~させる」が自然な訳になるときであっても make のように強制的に「させる」感触はないことがイメージにより直観的に理解できます。実におもしろい。

以下も「周りにある」イメージです。

  • have two windows
  • have a lot of rain
  • have an accident
  • have a headache
  • have tea
  • have a bath
  • be had
  • can’t have such behavior

すべてが have のイメージで理解できます。「be had」が「だまされる」であることもわかります。言葉とは類似な情報を統合するシンボル(符号)であり、言葉には、イメージをはじめさまざまな情報を統合する力があり、この力が、アウトプットに役だちます。

従来の “学校英語” や “受験英語” になれてきたわたしたち日本人にとっては日本語訳を頭からおいだしてイメージをつかうことはハードルがいくらかたかいかもしれませんが、日本語を脱することは英語を習得し、外国人とコミュニケーションをするために必要なことです。イメージをつかい、ファイル(情報のひとまとまり)を心のなかにふやしていく方法は情報処理をすすめアウトプットを容易にします。

この方法は、ほかの外国語を習得するときにもつかえますし、あるいは言語にかぎらず、あたらしいことをまなぶときにも役だちます。あらゆる分野に応用できる普遍的な方法をラジオ英会話がおしえてくれます。

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bring, carry, drive, arrive, reach, turn, break, set, change, stop, would like, want, wish, hope, let, ask, keep, recommend, suggest, show, explain, illustrate, demonstrate, respect -「基本動詞 ④」(NHK ラジオ英会話, 2022.07)-
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▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話』(2022年 4月号、NHK テキスト)NHK 出版、2022年

▼ CD
『NHK CD ラジオ英会話』(2022年4月号)

▼ 関連教材

▼ 注:参考文献
栗田昌裕著『栗田博士のSRS記憶法 ― 潜在能力をぐんぐんひきだす』ダイヤモンド社、1993年

(冒頭写真:イングランド、ストラトフォード・アポン・エイヴォン駅(Stratford-upon-Avon station)、1999年、筆者撮影)

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