動詞のまとめ -「基本動詞 ④」(NHK ラジオ英会話, 2022.07)-

情報処理

イメージをつかえばいくらでもおぼえられます。基本文型とイメージが連動してアウトプットになります。情報処理能力と記憶力が相乗的につよまります。

NHK ラジオ英会話、基本動詞の練習は4ヵ月目になり、今月でおわります。先月までとりくんできた基本動詞にくらべて独特の「味」をもつさまざまな動詞が登場します。

Lesson 61 bring・carry のイメージ

What shall we bring?

bring は「持ってくる」。 take(持っていく)と逆の、ある場所にちかづく動きをあらわします。come とおなじ方向です。「運ぶ」に対応する動詞には、特定の方向性をともなわない「支える(上にのせる)」イメージをもつ carry もあります。

Lesson 62 drive のイメージ

It drives me crazy.

drive の基本イメージは「力を加えて動かす」ということです。

Lesson 63 arrive・reach のイメージ

What are your impressions after arriving on Mars?

arrive は「自動型」でつかわれ単なる動作をあらわします。どこでそれがおこなわれたのかをしめす「場所」のフレーズをともないます。reach は、「手を伸ばして(対象物に)タッチ」がイメージであり、目的語をともなう「他動型」でつかわれます。

Lesson 64 turn のイメージ

Turn right at the next light.

turn のイメージは「向きを変える」、曲げたり回したりということです。

Lesson 66 break のイメージ

How many guitars have I broken over the years?

break は「壊す・壊れる」をあらわすもっとも一般的な動詞です。

Lesson 67 set のイメージ

We need to set a date for our wedding soon.

set は「(動かないように)しっかりと据える」ということです。

Lesson 68 change のイメージ

You’ve changed a lot.

change は、さまざまな変化をあらわすことができる「変化の万能選手」です。

Lesson 69 stop のイメージ

Let’s stop chatting and get to work!

stop は「停止」を意味するもっとも一般的な単語です。

Lesson 71 would like・want のイメージ

I’d like my steak medium-rare.

I’d like は I would like のことであり、would like は want のひかえめな大人表現です。want のイメージは「欠けている」であり、欠けているためそれを満たしたいという欲求につながります。

Lesson 72 wish・hope のイメージ

I hope you and Grandma have a good time.

hope は「望む・期待する」です。wishは、hope とことなり現実感のあまりない希望・願いをあらわすホワホワッとした単語です。

Lesson 73 let のイメージ

Let me take this call.

let のイメージは「軽いタッチの許す」です。

Lesson 74 ask のイメージ

I’ll ask him to do it, then.

ask のイメージは「お願いっ」です。

Lesson 76 keep のイメージ

Keep waiting.

keep のイメージは「(そのままの状態を)保つ」です。

Lesson 77 recommend と suggest

What kind of apartment do you recommend?

recommend のイメージは、手のひらの上にのせて「これいいんじゃないかな」です。suggest は「こうしたらいいんじゃない?」という気軽な提案、recommend よりも自信の度合いはややおちます。

Lesson 78 show、explain、illustrate、demonstrate  

I’d like to show you more of our city tomorrow.

show の中心は「見せる」、ビジュアルに重きがあります。

Lesson 79 respect

I respect people who give up their seats for others.

respect は、「すごいなあ」と誰かを称賛したり、あおぎみたりすることではなく、表面的な意見の相違に左右されずに価値をみとめ、敬意をはらうことです。

4ヵ月にわたった「基本動詞」はこれでおわりです。のべ52語にとりくみ、日本語を介さずに、それぞれのイメージをえがきました。

基本動詞のまとめ
  1. arrive(到着する(単なる動作))
  2. ask(お願いっ)
  3. be(実質的な意味をもたない単なる「つなぎ(=)」)
  4. believe(信じる(think よりもふかく心に根をおろす))
  5. break(壊す・壊れる)
  6. bring(持ってくる(come とおなじ方向))
  7. carry(運ぶ(特定の方向性をともなわないでささえる(上にのせる)))
  8. change(さまざまな変化をあらわすことができる変化の万能選手)
  9. come(やってくる → よい変化(話題の中心になっている場所、相手のいる場所が基準))
  10. demonstrate(実物をつかいながら説明する)
  11. drive(力を加えて動かす)
  12. explain(説明する)
  13. feel(感じ(手触り)がする、感じる(触る))
  14. find(見つける(多少なりとも発見がある))
  15. get((動いて)手に入れる → 変化)
  16. give(何らかのものが何かから単に出てくる)
  17. go(元の場所から出ていき進んでいく → 悪い変化(話題の中心になっている場所・相手のいる場所が基準))
  18. have(周りにある(位置をあらわすうごきのない静的なイメージ))
  19. hear(聞こえる(音が、向こうからやってくる感触))
  20. hope(望む、期待する)
  21. illustrate((図や表などをつかって)わかりやすく説明する)
  22. keep((そのままの状態を)保つ)
  23. know(知っている(確信をくわえる意識))
  24. leave(ある場所から去る → 残されたモノ)
  25. let(軽いタッチの許す)
  26. listen(耳を傾ける)
  27. look(目を向ける)
  28. make(力を加えて作り上げる)
  29. put(何かをどこかにポンと移動する)
  30. reach(手を伸ばして(対象物に)タッチ)
  31. recommend(手のひらの上にのせてこれいいんじゃないかな)
  32. respect(表面的な意見の相違に左右されずに価値をみとめ敬意をはらう)
  33. run(スピーディーに線上を走る動き)
  34. say(言葉をいう)
  35. see(見える(向こうからやってくる感触))
  36. set((動かないように)しっかりと据える)
  37. show(見せる(ビジュアルに重き))
  38. smell(においがする、においをかぐ)
  39. speak((口から)音声を出す(一方通行を基調))
  40. stop(停止)
  41. suggest (こうしたらいいんじゃない?という気軽な提案(recommend よりも自信の度合いはややおちる))
  42. take(手に取る → 受け入れる → 手に取ってどこかに持っていく)
  43. talk(話し合う(コミュニケーションに焦点))
  44. taste(味がする、味見する)
  45. tell(メッセージを伝える)
  46. think(思う、考える)
  47. turn(向きを変える)
  48. want(欠けている → それを満たしたいという欲求)
  49. watch(注視する、ジィィッと見る)
  50. wish(hope とはことなり現実感のあまりない希望・願い(ホワホワッとした単語))
  51. wonder(おおきなクエスチョンマーク(?)が頭にうかんでいる)
  52. would like(want のひかえめな大人表現)

イメージをつかえば理解が容易になるだけでなく記憶もすすみます。わたしたちは、たくさんの単語を記憶しなければなりませんが単語がふえればふえるほど負担がふえ、またこんがらがってきます。勉強は、おぼえることがおおくなると記憶がむずかしくなり、くるしくなる場合があります。

そこでイメージが役だちます。理屈ではなく視覚をつかえば見通しがよくなり直観がはたらき、記憶は保持され想起もしやすくなります。想起ができればアウトプットできます。うんうんとくるしむ必要はもうありません。

またイメージは、つかわれる文型と無縁でないこともまなびました。

たとえば arrive は、到着するという単なる動作をあらわし(図1)、「arriving on」のように前置詞がつき「自動型」でつかわれます。どこでおこなわれたのかをしめす「場所」のフレーズをともないます。他方、reach は、「手を伸ばして(対象物に)タッチ」というイメージであり(図2)、目的語をともなう「他動型」でつかわれます。図1と図2のイメージをみくらべればイメージと文型は無縁ではなく連動していることがわかり、arrive と reach のつかいわけができるようになります。

図1 arrive のファイル
図1 arrive のファイル
(Lesson 63 の図を改変)
図2 reach のファイル
図2 reach のファイル
(Lesson 63 の図を改変)

こうして、基本文型とイメージが連動してメッセージが相手につたわります。情報の流れと保持とはつよめあいアウトプットをうみだします。情報処理能力と記憶力が相乗的にたかまります。

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bring, carry, drive, arrive, reach, turn, break, set, change, stop, would like, want, wish, hope, let, ask, keep, recommend, suggest, show, explain, illustrate, demonstrate, respect -「基本動詞 ④」(NHK ラジオ英会話, 2022.07)-
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▼ 参考文献 & CD
『NHK ラジオ英会話』(2022年7月号、NHK テキスト)NHK 出版、2022年
『NHK CD ラジオ英会話』(2022年7月号)NHK 出版、2022年

▼ 関連教材

(冒頭写真:イングランド、ストラットフォード・アポン・エイボン、運河、1999年、ブリッジ・フット(Bridge Foot)から筆者撮影)

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