2022
03.22
バッキンガム宮殿

そのままインプットする -「配置の言葉」(NHK ラジオ英会話, 2022.03)-

情報処理

語順感覚を身につけます。インプット・プロセシング・アウトプットを自覚します。世界がひろがります。

NHK ラジオ英会話、今月は、比較表現をしあげ、最後に、今年度のしめくくりとして「配置の言葉」を確認します。

LESSON 221 比較 ⑨:指定表現+比較級

Windsor Castle is much older than Buckingham Palace.

指定表現を比較級にくわえる練習です。指定表現の位置は、「指定ルール(指定は前に置く)」にしたがい比較級の前です。

LESSON 222 比較 ⑩:比較はバランスを大切に(比較級)

It’s faster to draw it on a computer than to use real watercolor paints.

比較可能なものをバランスよくくらべることが大事です。

LESSON 223 比較 ⑪:比較対象に節(比較級)

Nolan is a lot smarter than he seems.

比較対象に節をつかう練習です。

LESSON 224 比較 ⑫:最上級の基礎

I’d say she’s the most talented artist in our family.

最上級も、ほかの比較表現同様、通常の形容詞・副詞とおなじ場所でつかいます。

LESSON 226 比較 ⑬:最上級と範囲の意識

It was the most moving film I’ve ever seen.

最上級(最も~)にはしばしば「範囲」がしめされます。

LESSON 227 比較 ⑭:指定表現+最上級

This is by far the best office software I’ve ever used.

「指定ルール」にしたがって「by far」を「the best」の前において強調します。

LESSON 228 比較 ⑮:最上級を使った頻用フレーズ

At best he’s an entertaining writer, and at worst he’s just a dreamer.

「at best」と「at worst」の対比を意識します。

LESSON 229 比較 ⑯: as ~ as … を用いたフレーズ 1

OK, keep calm. I’ll get there as fast as I can.

「as ~ as … can」がひとまとまりの表現として感じられるまで練習します。

LESSON 231 比較 ⑰: as ~ as … を用いたフレーズ 2

You’re as lovely as ever.

「ever」は「at any time(どの時点をとっても)」ということであり、そこから、「いつもと同じように」となります。

LESSON 232 比較 ⑱:比較級を用いたフレーズ 1

Your English is getting better and better.

変化が途切れなく、どんどんつづいていきます。

LESSON 233 比較 ⑲:比較級を用いたフレーズ 2

The Earth is no more than a little planet.

「no」には、つよい感情「全然そうではない」がやどっており、「~にすぎません(= only)」となります。

LESSON 234 比較 ⑳:比較級を用いたフレーズ 3

You’re no more a philosopher than my cat!

あきらかに論外なモノをひきあいにだし、「全然違いますよ」と、つよい否定の意識でいいます。

LESSON 236 英語は「配置の言葉」①:動詞 -ing 形

Sneezing man?

「sneezing」が「man」の前にあり、これは、「指定ルール」によりうしろの表現の種類を指定する位置です。ただの「男」ではなく「くしゃみ男」。

LESSON 237 英語は「配置の言葉」②:過去分詞

We were able to recover most of the stolen things.

過去分詞「stolen」が「things」の前におかれ、「指定ルール」によって「盗品」となります。

LESSON 238 英語は「配置の言葉」③: to 不定詞

I want to eat my ramen slowly.

「to 不定詞」が目的語の位置にあります。位置によって機能が決まります。

LESSON 239 英語は「配置の言葉」④:そろそろ英語、話せます!

He heard the news that Roxy went to the UK to study.

「the news」の内容を節が説明し「ロキシーがイギリスに留学した──というニュース」となります。「説明ルール」の典型例です。

英語は配置の言葉、文中の配置(場所)によって語句の働きがきまります。したがって配置(語順)がわかれば、そこに語句をほうりこむだけで英文がすぐにできあがります。簡単です。

その原則をしめしたのが「基本文型」(5つのパターン)であり、修飾の語順ルール、「指定ルール」「説明ルール」です。

基本文型
  • 自動型(I jog.)
  • 説明型(John is a student.)
  • 他動型(I like Mary.)
  • 授与型(I gave Mary a present.)
  • 目的語説明型(We call him Jimmy.)
修飾の語順
  • 指定ルール:前に置いた修飾語句は後ろを指定する
  • 説明ルール:後ろに置いた修飾語句は前を説明する

けっきょくこれだけのことであり、原則はとても単純です。この語順感覚を身につければ英語の学習は一気に加速します。

しかし英文和訳(英文読解)を基本として、日本語の語順で英文を理解することをくりかえしているといつまでたっても語順感覚が身につきません。なぜなら英語の語順の原則と日本語の語順の原則とはまったくことなるからです。英語にも日本語にも語順の原則がそれぞれにあり、それらはことなることに気がつかねばなりません。原則とは、現象の根本にある単純明快な原理あるいは法則といってもよいでしょう。

2021年度のラジオ英会話は、「なぜ日本人は英語を話せないのか?」という問いからはじまりました。そのこたえは英語の語順の練習をしていなかったということです。しかしラジオ英会話をくりかえしきいていれば語順感覚がおのずと身につき、英語がはなせるようになります。

感覚とは、耳や目などから、情報(音声や文字など)を内面にインプットする心(ハート)の働きであり、インプットの段階では、英語の語順をそのままうけいれる必要があり、日本語はかんがえないほうがよいです。英語をインプットしながら日本語訳を同時にかんがえることはインプットをさまたげます。英文をよみながら(みながら)日本語に英語をおきかえているとインプットがうまくできません。インプットをするときにはインプットに徹したほうがよく、入れるときには入れる、ちょっとした決断がいります。これは、英語にかぎらずあらゆるインプットに通じる教訓です。

一方、英語をはなす(声にだしていう)とは情報を外面にアウトプットすることであり、メッセージを相手につたえることです。そしてインプットとアウトプットのあいだには、理解・イメージング・記憶など、プロセシングがあり、とくに記憶は睡眠によってすすみます。

このような〈インプット→プロセシング→アウトプット〉は 心(ハート)の働きといいかえてもよいでしょう。インプット・プロセシング・アウトプットのそれぞれを自覚し意識すれば情報処理がすすみ効果があがります。ハートの仕組みを理解しハートをはたらかせることは、番組のキャッチフレーズ「ハートでつかめ!英語の極意」にも通じるとおもいます。

わたしも、おおくの日本人(とくに比較的ご年配の方々)が英会話ができない現実に国際協力などをとおしてつきあたり、日本の英語教育には問題があるとかねてからおもっていましたが、ラジオ英会話を受講して問題の核心がわかりました。それは、おそわるほうだけでなくおしえるほうもインプットの仕組みをしらず、インプットがうまくできていなかったということです。英語の語順感覚の習得をさまたげていたのは日本語であり、既知の知識や記憶・固定観念があらたなインプットを阻害します。したがってインプットをするときには、どのような分野でも、その情報をそのままうけいれ、受け身になってすなおに情報をとりこむ姿勢が必要です。このようにみるとやはり、わかい人のほうがインプットが得意です。あたらしいことをまなべます。

大西泰斗先生らが指導するラジオ英会話でいっていることは簡単なことのようですが、実は、あらゆる情報処理・教育・練習・訓練に通じる核心をついています。普遍性があります。普遍性があるので、ここでまなんだことはほかの分野にも応用できます。

ラジオ英会話は来年度も、大西先生らが指導するそうです。イメージ訓練が今度はできます。この講座を基点にして世界がさらにひろがるでしょう。

▼ 関連記事(2021年度 NHK ラジオ英会話)
説明ルールと指定ルール -「なぜ日本人は英語を話せないのか?」(NHK ラジオ英会話, 2021.04)-
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仮定法と it - NHK ラジオ英会話(2月)-
英語のリズムを身につけよう -「文法力と語順の成熟」(NHK ラジオ英会話 3月)-

▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話』(2022年3月号テキスト)NHK 出版、2022年

▼ 関連教材