さまざまな神々にであえます。バラモン教は仏教もとりこみ、ヒンドゥー教に発展しました。文明圏が成立しています。
国立民族学博物館(注)の南アジア展示では、宗教文化や生業・工芸の多様性、都市を中心とした活気あふれる大衆文化、またグローバル化のなかで花ひらく染織文化のすがたを紹介しています。人びとのくらしに根ざした宗教文化は、人びとの価値観の基礎となり、現代の生活のなかにも息づいて多様な発展をしています。
ステレオ写真は平行法で立体視ができます。
立体視のやりかたはこちらです。
シヴァはヒンドゥー教のおもな神格であり、世界の破壊と再生をつかさどります。その妻パールヴァティーはおだやかな姿であらわれますが、その変身形ドゥルガーは武器をたずさえ、災いをはらう女神とされます。象頭のガネーシャはシヴァの息子であり、福をもたらす神として人気があります。
ケガレや罪に満みちた世界を消滅させるためのダンスをおどるシヴァ神。この姿から、20世紀にはいって舞踊の神ともみなされるようになりました。
ヴィシュヌも、世界の護持をつかさどるヒンドゥー教のおもな神格ですが、人びとのあいだでは、その化身のクリシュナやラーマがよりちかい存在として敬愛の対象となります。これらの神がみは、地域ごとに、さまざまな姿であらわれ、ときには別の名でよばれて信仰されています。
クリシュナ神はヴィシュヌ神の化身であり、牧畜カーストの子としてそだてられたという神話をもつことから、牧童の姿であらわされることがあります。叙事詩や歌の主題として、ヒンドゥー教徒にひろく敬愛される神です。
バララーマ神、スバドラー神、ジャガンナート神は、インド東部のヒンドゥー教の聖地プリー市にあるジャガンナート寺院に祀られている神格であり、部族神信仰に起源をもつと推測されますが、現在は、クリシュナ神と同一視されます。雨季に、巨大な山車にこの三神をのせた巡行儀礼がおこなわれます。
ヒンドゥー数の神々は、土・石・木や金属の像、絵画、刺繍など、さまざまなかたちで信仰されており、災厄をはらい福をよぶとしてひろく敬愛され、ガネーシャ神はその代表です。
*
南アジア地域は、北部の山岳地帯から西はアラビア海沿岸、東はベンガル湾沿岸にいたるさまざまな自然環境のもと、多様な宗教や文化、生活様式をもつ人びとが共存しあい知恵をはぐくんできました。経済発展がいちじるしい現代においてもその知恵はたもたれています。
インド亜大陸では、紀元前1200年ごろからバラモン教がしだいに形づくられ、それは、複雑な祭式をともない、司祭の特権化をすすめました。その後、バラモン教への批判のなかから、仏教やジャイナ教が成立しました。するとその批判に対応して、バラモン教はおおきく変貌し、ヒンドゥー教へと発展しました。
ヒンドゥー教は、紀元前後ごろに成立し、南アジア各地の土着の信仰や儀礼、伝説を吸収し、多神教的な信仰の世界を発展させました。神がみは、地域や宗派によって多様な姿であらわされ、また絵画・塑像・彫刻など、さまざまな形で表現され、人びとの信仰をあつめています。
▼ 関連記事
特別展「ヒンドゥーの神々の物語」(古代オリエント博物館)をみる
「インドの叡智」展(東洋文庫ミュージアム)をみる
3D バクタプル国立美術館 - 日本にもやってきた神々 –
3D パシュパティナート - ネパール、ヒンドゥー教の聖地 –
3D パタン博物館(1) - ネパールの都市国家 –
3D パタン博物館(2) - ネパールの都市国家 –
3D ネパール旅行
特別展「先住民の宝」(国立民族学博物館)2 - ネパールの先住民 –
ヒマラヤの垂直構造と重層文化 - 川喜田二郎『ヒマラヤの文化生態学』-
梅棹忠夫『比較文明学研究』をよむ
▼ 国立民族学博物館 関連記事
世界を理解するために、国立民族学博物館の世界地図をつかう
世界一周の圧縮体験をする - 国立民族学博物館 –
みんぱくバーチャルミュージアム
ガイドブックをみてからいく - 国立民族学博物館のあたらしい展示案内 –
行動しながら情報処理をすすめる - 博物館での体験 –
人類の移動と拡散を想像する - 国立民族学博物館のオセアニア展示 –
多様性を大観する - 国立民族学博物館のアメリカ展示 –
パンにバターをぬって食べる人を想像する - 国立民族学博物館のヨーロッパ展示 –
ユーラシア大陸をモデルでとらえる - 麦作と稲作(国立民族学博物館)-
文化的にひとまとまりのある地域をおさえる - 国立民族学博物館の西アジア展示 –
言語の原則を身につける - 国立民族学博物館「言語展示」-
3D 国立民族学博物館「アイヌの文化」
ヨーロッパと日本を対比させて想像する - 国立民族学博物館の日本展示 –
環太平洋地域をイメージする - 国立民族学博物館の展示を利用して –
環太平洋文明と地理学をみなおす - 安田喜憲『森の日本文明史』-
〈社会-文化-自然環境〉システムをとらえる - 国立民族学博物館の住居・衣装展示 –
特別展「先住民の宝」(国立民族学博物館)1 - アイヌ –
特別展「先住民の宝」(国立民族学博物館)2 - ネパールの先住民 –
特別展「先住民の宝」(国立民族学博物館)3 - 世界各地の先住民 –
企画展「知的生産のフロンティア」(国立民族学博物館)をみる
特別展「ユニバーサル・ミュージアム ― さわる!“触”の大博覧会」(国立民族学博物館)- インプットを自覚する –
皮膚感覚を自覚しとぎすます - 世界をさわる―感じて広がる(国立民族学博物館)-
ことばの仕組みと進化 − 特別展「しゃべるヒト」(国立民族学博物館)−
〈人間-文化-自然環境〉系 - 企画展「ビーズ - 自然をつなぐ、世界をつなぐ -」(国立科学博物館)-
▼ 注
国立民族学博物館
▼ 参考文献
国立民族学博物館(編)『国立民族学博物館 展示案内』, 2017年11月8日, 国立民族学博物館