野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −

地球

直観をいかに論理展開するか。仮説法があなたの力となる。地球学の方法がつかえる。

このたび、アマゾン kindle ストアより、電子書籍『野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −』を出版しました。直観をいかに論理展開するか、仮説法(アブダクション)があなたの力となります。第三世代の学問、仮説法、KJ法を手がかりに、野外科学と実験科学を連動させ、それらにつづく第三の段階を提唱、地球学の方法がつかえます。

以下に、まえがきと目次、重要な図を掲載します。

まえがき

 野外科学と実験科学、それぞれに伝統があり、方法論がことなり、二つの分野にわかれています。野外科学は博物学の系譜をひきますが、実験科学は近代科学の系譜をひきます。野外科学では、フィールドワークをしてありのままの自然をみますが、実験科学では、人為的にコントロールされた場で特定の現象をみます。両者の行き方はおおきくことなり反りがあいません。
 今日では、実験科学のほうが優勢であり、科学といえば実験科学であるとおもわれがちですが、一方で、環境問題や防災・地域研究など、フィールドワークが不可欠な課題もふえています。野外科学と実験科学の矛盾をのりこえ、両者をいかすことはできないでしょうか。
 本書では、第三世代の学問、仮説法(アブダクション)、KJ法を手がかりに、野外科学と実験科学のそれぞれの独自性をみとめながらも両者を連動させ統合・体系化することをこころみました。野外科学、実験科学、それらにつづく第三の段階を提唱しています。
 本書におさめた論考は、まえがきとあとがきをのぞき、これまでにわたしが執筆あるいは発表したものです。理解をたすけるためにそれぞれの項に解説を付し、それが書かれた背景や経緯をしるしました。
 第1章「第三世代の学問」では、学問の歴史をふまえ、野外科学と実験科学の連動の可能性についてのべます。第2章「秋田県大館地域、中新世玄武岩質岩類の低温変成作用」では、野外科学と実験科学の実践事例として、わたしの博士論文をそのまま掲載します。第3章「3段階循環モデル」では、実践からうまれた問題解決モデルについて解説します。第4章「発想学概論」では、取材の方法とKJ法の歴史について概説します。第5章「フィールドの問題解決」では、わたしのブログから関連記事をピックアップし、フィールドワークの重要性を強調します。第6章「人類と地球」では、地球に関する認識をふかめるためのヒントをしめし、文明についてかんがえます。
 全体的には、第1章〜第3章は、体験をふまえて、仮説(3段階循環モデル)を発想する内容になっており、そのあとはそれを検証し、さらに、地球と文明について考察する内容になっています。
 本書におさめた論考を執筆するにあたっては、KJ法創始者の川喜田二郎先生をはじめ、KJ友の会・KJ法学会の皆様にはたいへんお世話になりました。啓発的な議論をさせていただき、また貴重なご意見をいただきました。ここに銘記して、こころより感謝の意を表します。

2023年10月14日
田野倉 達弘

目次

まえがき
第1章 第三世代の学問
 1. 地球学の提唱
 2. 野外科学と実験科学 - 問題提起 –
 3. 問題解決の3段階モデル
第2章 秋田県大館地域、中新世玄武岩類の低温変成作用
 緒 言
 1. 地質概説
 2. 地層各説
 3. 岩石記載
 4. 全岩化学組成
 5. 鉱物の化学組成
 6. 相解析
 7. 考察
第3章 3段階循環モデル
 1. 問題解決と人間的成長
 2. 広域調査と局所調査
第4章 発想学概論
 1. 取材から作文へ
 2. 発想をうながすKJ法
第5章 フィールドの問題解決
 1. 論理の3段階
 2. 旅にでよう
 3. フィールドワーク
 4. 全体と部分
 5. 記録をとる
 6. 現場から発想する
 7. 主体と環境
 8. 地球の探究
 9. 人生と学問
第6章 人類と地球
 1. 仮説をたて検証する
 2. グローバルな視点
 3. 地球科学の進歩
 4. 地球と文明
あとがき
付録:立体視のやりかた

重要な図(モデル)

3段階モデル
論理の3段階
主体-環境系

田野倉達弘(著)『野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −』(Kindle版), 2023年10月14日, アマゾン・キンドルストア

(冒頭写真:日本科学未来館、2016年、筆者撮影)

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