たとえば run のイメージは「スピーディーに・線上を走る動き」であり(図1)、run という英単語とそのイメージをひとまとまり(ファイル)にして記憶しておけば、run をふくむあらゆる英文が容易に理解できます。情報のひとまとまりを情報用語でファイルといい、ここではそれを球でモデル化します。
図1 run のファイル のモデル (Lesson 41 の図を改変)
イメージを念頭におくとつぎの例文もすぐに理解できます。
My parents used to run a small hotel. The buses run every 20 minutes. The road runs around the campus. My nose is running Time is running short. The well ran dry. I’ve run out of cash. Let me run a bath for you. I run a program.
take の「手に取る」うごきはそのあと、「手に取ったものを自分のほうに引き寄せるしぐさ」があり、「受け入れる」というニュアンスが生じます。
Lesson 24 take の「かかる・必要とする」
It’ll only take 15 minutes or less if we walk fast.
take の「手に取る」は「手に取って使う」につながります。
Lesson 26 take の「持っていく・連れていく」
Can you take me to Stonehenge?
「ひょいと手に取ってどこかに持っていく」というイメージです。
Lesson 27 go の基本イメージ
I really have to go.
go のイメージは「元の場所から出ていき進んでいく」です。
Lesson 28 go の「進行」
It goes like this . . .
「元の場所から出ていき進んでいく」イメージです。
Lesson 29 come の基本イメージ
Nothing comes to mind.
come のイメージは「やってくる」であり、何かがこちらにちかづいてくる様子をイメージします。
Lesson 31 come の方向・go の方向
I’ll come and pick you up at the station.
英語には、会話で焦点があたっている場所(話題の中心になっている場所・相手のいる場所)を基準に go あるいは come をえらぶつよい傾向があります。ここでは、「相手がいる場所(駅)」が基準となり、そこにちかづく自分をイメージします。
Lesson 32 go の変化・come の変化
Our love’s gone sour.
移動をあらわす表現が状態の移行(変化)をあらわします。go は「元の・本来の・あるべき状態」から離れるうごき、 come はそうした場所にちかづくうごきをあらわすところから、「悪い変化」「よい変化」とざっくりかんがえてもよいです。
Lesson 33 be 動詞
(Is) everything OK?
be 動詞が省略されていました。時折省略されることが be 動詞の特殊性をものがたっており、be 動詞は実質的な意味をもたない単なる「つなぎ(=)」です。
Lesson 34 give のイメージ
This place gives me a strange feeling.
give は、何らかのものが何かから単に「出てくる」状況をイメージする動詞です。
Lesson 36 get の基本イメージ
I got the idea to actually eat here.
get は「(動いて)手に入れる」というイメージ、「動き」のニュアンスがいつも感じられます。get は一般動詞の中でもっとも汎用性・頻度がたかい「大物」です。
Lesson 37 get の「動き」
I’ll finally get to see the Pyramids!
get は、「(動いて)手に入れる」から「動き」一般へ意味をひろげています。
Lesson 38 get の「変化(~になる)」
Let’s get going.
get の「動き」は「変化」につながります。まわりの状況に触発されて、「(ジッとしていないで)もう行くことにしよう」といった、「動き出す」変化の感触がくわわっています。
Lesson 39 get の目的語説明型
I got Frankie to do it.
to 不定詞をつかった目的語説明型で get がつかわれています。矢印(→)を to で連想します。get が、Frankie を to 以下の行為に「押している」感触を意識します。
*
take のイメージは「手に取る」(図1)、go のイメージは「元の場所から出ていき進んでいく」、come のイメージは「やってくる」、give のイメージは、何らかのものが何かから「出てくる」(図2)、get のイメージは「動いて手に入れる」です(図3)。このような状況をイメージできれば日本語訳からおのずと解放され、動詞の力を手にすることができます。
図1 take のファイル (Lesson 23 の図を改変)
図2 give のファイル (Lesson 34 の図を改変)
図3 get のファイル (Lesson 36 の図を改変)
たとえば take は、目の前にあるものを体をうごかさずに手にとるイメージですが、get は、そうではないことがすぐにわかります。「I’ll take a taxi.」と「I’ll get a taxi.」をくらべると、take は、タクシーを「選び取る」感触がありますがそこには動きはありません。一方、 get は、その場にいないタクシーを「捕まえてくる」という動きのニュアンスがあります。get は、「動き」一般をあらわすため、非常にたかい頻度でつかわれる「大物」です。
get started, get angry, get wet, get warmer, get drunk, get married, get excited, get disappointed など。
こうして make からイメージをおもいうかべ、イメージをおもいうかべて make をつかいます。英単語→日本語、日本語→英単語ではなく、英単語→イメージ、イメージ→英単語の練習をくりかえします。イメージは容易に記憶に定着するため、このようなイメージ訓練(心象法)はそのまま記憶法に発展します。視覚情報をつかうのは記憶法の基本でもあり、文字情報→視覚情報、視覚情報→文字情報の変換は記憶法のなかの「変質法」(注)の練習といってもよく、このような情報の質的変換は創造性開発にもつながります。
たとえば Lesson 12「I’m not having you walk home alone in this rain.(私は、あなたをこの雨の中ひとりで歩いて帰らせたりはしませんよ。)」の have は、「使役動詞」と学校ではおしえられましたがこのような用語にとらわれる必要はなく、「周りにある」イメージを拡張させます。have は動きを感じさせない動詞であり、「~させる」が自然な訳になるときであっても make のように強制的に「させる」感触はないことがイメージにより直観的に理解できます。実におもしろい。
以下も「周りにある」イメージです。
have two windows
have a lot of rain
have an accident
have a headache
have tea
have a bath
be had
can’t have such behavior
すべてが have のイメージで理解できます。「be had」が「だまされる」であることもわかります。言葉とは類似な情報を統合するシンボル(符号)であり、言葉には、イメージをはじめさまざまな情報を統合する力があり、この力が、アウトプットに役だちます。
一見 何がえがかれているのかわかりませんが立体視をすると絵がうきでてきます。それが「3D アート(イラスト)」です。本書は、とおくに焦点をあわせることで絵がうかびあがる「平行法」と手前で焦点をあわせることで絵がうかびあがる「交差法」の 3D イラストをのべ38点収録しており、たのしみながら目がきたえられます。
This dress is twice as expensive as the same one I saw online.
twice で as 〜 as … を指定する意識で練習します。
LESSON 216 比較 ⑤: as 〜 as … の比較内容を豊かに
Mom is as good at cooking as you are.
as 〜 as … の間において比較内容を表すのは形容詞や副詞1語だけではありません。複数語でもよいです。
LESSON 217 比較 ⑥:比較はバランスを大切に
Our piano at home isn’t as big as yours.
比較表現で大切なのはバランスです。比較可能なモノを比較します。
LESSON 218 比較 ⑦:比較対象に節
It’s not as hard as it seems.
比較の対象に節を用いる練習です。この文では seems の後ろの空所が hard と呼応して「それがそう見えるほど(hard ではない)」となっています。
LESSON 219 比較 ⑧:比較級
Can you ride more slowly, please?
「Can you ride slowly?」とおなじ気軽さでつくります。
*
受動態は「単なる be 動詞文」であり、比較表現は「形容詞・副詞が変化した形」にすぎません。英文内の単語の配置(語順)がわかっていれば受動態も比較表現も簡単につかいこなすことができ、特別な操作はいりません。
また単語の配置によって、「指定ルール」と「説明ルール」がはたらくこともおなじです。たとえば「as 〜 as …」においても、「=(イコール)」のイメージをもつ as に「指定ルール」と「説明ルール」がはたらきます。
They are as good as fine Belgian chocolates.
最初の「as」は、「同じくらいおいしい」と「good」のレベルを指定しています。一方、うしろの「as fine Belgian chocolates」は「= fine Belgian chocolates」と、何と同じくらいおいしいのかを説明しています。これら指定ルールと説明ルールにより、「高級なベルギー製チョコレートと同じくらいおいしい」となります。
つまり、アイヌの人々は縄文人の遺伝子をもっともよくひきついでおり、そのつぎに、琉球列島の人々がうけついでおり、本土日本(本州・四国・九州)には、渡来人の子孫と、渡来人と縄文人の混血の人々がいることがわかりました。アイヌ人と琉球人は縄文系の特徴を比較的おおくのこしていることが明確になり、形態学的研究によって発想された仮説は DNA 解析によって実証されました。
今回の『科学』の特集は、30年前に提唱された仮説を最新技術によって実証したところに力点がおかれています。今日、あらゆる分野で DNA 解析が決定的な証拠をもたらしており、人類学・考古学も例外ではありません。
今回の例をみてもあきらかなように、DNA 解析はとても有用ですが、出土したすべての人骨に対して DNA 解析をおこなうことは、予算的にみても時間的にみてもマンパワーからみてもまったく不可能ですから、仮説をたてて推論し、サンプルを選択して、集中的に分析し、推論結果をたしかめるという手順をふみます。これは演繹法といってもよく、これにより「むだ撃ち」をふせげます。
注) be 動詞をつかった仮定法では、単数主語でも be 動詞は were とするのが通例でしたが、これは、仮定法が特別な形をもっていたときのなごりであり、現在では、「単数主語 + was」も多用されます。「時表現を過去方向にひとつずらす」という仮定法のルールがここにもはたらいています。 I wish I were a bird. = I wish I was a bird. I wish my boyfriend were less shy. = I wish my boyfriend was less shy.