静止した被写体なら普通のカメラで撮影できます。3Dカメラをつかえば、被写体がうごいていても撮影できます。要素と場をリアルに記録し再現できます。
(2020年12月14日発行)
(2022年8月24日更新)
ステレオ写真(3D写真)は、被写体とその環境を3次元にリアルに再現できるため情報量が圧倒的におおく、平面写真(2D写真)よりもしばしば有用です。現地・現場・実物などを記録し表現するために、ここぞというところでは、通常の写真にくわえてステレオ写真を撮影するとよいでしょう。
立体視のやりかたはこちらです。
1. 普通のデジタルカメラをつかう
- 普通のカメラ(スマホのカメラでもよい)を手にもちます。
- 静止した被写体を選択し、構図をきめます。
- 左足を軸足にして(地面に対して左足を垂直にして)、右足はややななめにしてたち、撮影します。撮影された写真をAとします。
- つぎに、右足を軸足にして(地面に対して右足を垂直にして)、左足はややななめにしてたち、撮影します。撮影された写真をBとします。
- 写真Aと写真Bを撮影するときに、カメラは、5〜15cm 左右にずれます(カメラを、5〜15cm 左右にずらして撮影します)。
- ディスプレー上で、写真Aを左に、写真Bを右側に配置すれば、平行法で立体視ができます。
- ディスプレー上で、写真Bを左に、写真Aを右側に配置すれば、交差法で立体視ができます。
- 平行法でも交差法でも、左目では写真Aを、右目では写真Bをみます。
- 必要に応じてトリミングをしてもよいです。
- ステレオ写真をブログなどにアップする場合は、たとえば「スクリーンショット」をつかって、2枚の写真を、ひとつの画像ファイル(画像データ)にします。
- あるいは Mac を利用できるのであれば「XstereO Player」というアプリが便利です。
- Mac App Store から XstereO Player をダウンロードします。
- XstereO Player をたちあげ、メニュー「File」→「Open」、ファイルの選択画面がでてくるので、写真Aと写真Bの両方を同時に選択し、「Open」のボタンをクリックします。
- 「Right」と「Left」の確認画面がでくるので、写真Aは Left、写真Bは Right に設定します(左右をいれかえる場合は中央の「⇄」をクリックします)。
- 写真Aと写真Bがならんで表示されます。
- 画面左上の「Mode」を「LR」にすると平行法で、「RL」にすると交差法で立体視ができます。
- ステレオ写真を保存するときは、メニュー「File」→「Export/Share」→ 確認画面の「Save」→「Save One」をクリックします。
- 風景写真など、奥ゆきを強調したいたきには、カメラをずらす左右の間隔を 15cm 以上にしてもよいですが、通常の被写体の場合は、左右の間隔をはなしすぎると奥ゆきが強調されすぎて不自然な写真になりますので注意してください。
- 普通のカメラをつかう方法では、うごいている被写体のステレオ写真は撮影できません。
- 動物を撮影する場合は、動物が静止しているときに撮影します。
2. 3Dデジタルカメラをつかう
3Dデジタルカメラは何種類かありますが、コストパフォーマンスにすぐれる FUJIFILM「FinePix REAL 3D W3」がステレオ写真家のあいだではよくしられ、わたしも長年つかっています。
Amazon:FUJIFILM 3Dデジタルカメラ FinePix REAL 3D W3
- 被写体は、静止しているものでも、うごいているものでもかまいません。3Dデジタルカメラの利点は、うごいている被写体も撮影できる点にあります。
- カメラの液晶モニターをみながら構図をきめ、シャッターをおします。
- カメラの液晶モニターで 3D 画像が確認できます(3D でみえます)。
- 3D で撮影された画像は、MPファイル(拡張子は .MPO)という特殊なフォーマットで保存されます。
- パソコンで表示するには、Mac が利用できるのであれば XstereO Player が便利です。
- XstereO Player をたちあげ、メニューの「File」→「Open」、ファイルの選択画面で目的のファイルを選択、「Open」をクリックします。写真Aと写真Bがならんで表示されます。
- 写真の左右の配置をいれかえる場合は、「Mode」の「Swap」にチェックをいれるか、あるいは「RL」と「LR」をいれかえます。
- メニュー「File」→「Export/Share」により保存できます。
*
わたしは、地球科学における地形判読からステレオ写真をはじめました。地形や風景をよむためには立体視が必須です。いまでは、博物館・植物園・動物園・水族館・公園などで、あるいは旅行をしながらあらゆる場面でステレオ写真を撮影しています。
ステレオ写真を撮影すれば対象だけでなく、それが存在する 3D 空間も記録できます。要素とともにそれをふくむ場を視覚的にのこせます。観察と大観がすすみ、物事の意味は、場のなかの位置(配置)によってきまることもわかります。
これは、まるごとインプットと 3D 想起の練習にもなり、ステレオ写真をおりにふれてみなおせばその時その場の状況がありありとよみがえって体験がさらにふかまり、体験とイメージがむすびついて内的空間が確立し、心の場がととのって情報処理がすすみます。