ヒマラヤの王国 ネパール
-青年海外協力隊員の記録-

ラーニポカリと
トリチャンドラ・キャンパスの時計台
<カトマンズ>

>> 拡大

<全体目次>

1.青年海外協力隊の派遣前訓練

2.ネパール・ヒマラヤの世界をみる

3.ヒマラヤは崩壊している

4.検証の旅

5.構想

6.国際協力の展開

7.アジアのスイスをめざせ


2002年7月17日発行

 

 はじめに

 私は、2000年4月から2年間にわたって、青年海外協力隊の一員として、ネパール国立トリブバン大学地質学科に講師として勤務しながら国際協力活動をおこなった。このサイトでは、ネパールへ派遣される前におこなわれた青年海外協力隊の派遣前訓練について紹介するとともに、ネパールに滞在した2年間にフィールドノートにかきづがれた記録にもとづいて、ネパールの大自然とその崩壊の実態について報告し、さらに、ネパールがかかえる諸問題についてのべていく。

 ネパールは、自然のスケールの大きさと民族の多様性において、その存在を世界にほこりうるヒマラヤの王国である。

 その国土は、標高数十メートルのガンジス平原から、造山運動によって形成されたヒマラヤ山脈の8千メートル級の山々にまでおよび、そこには亜熱帯から雪氷帯までの多様な気候帯が発生し、その中で様々な民族が、自然環境から恩恵をうけつつ、同時にそれをたくみに利用して、ゆたかなネパール・ヒマラヤの世界をつくりだしてきた。

 しかし近年、近代化と人口増加により自然環境の破壊がいちじるしくすすみ、一方で、昨年の国王一家殺害事件以来、反政府武装組織の武力闘争が激化し、社会は混乱を呈してきており、ネパールはきびしい試練に現在たたされている。

 これらの問題に対処するためには、人材育成と住民参画を基軸にした協力活動を長期展望にたって地道につづけていかなければならない。(2002年7月)

<全体目次>

>> 1.青年海外協力隊の派遣前訓練

(1)ネパール語の訓練がはじまる

(2)ネパールから地質学の要請がある

(3)ネパール語の訓練がつづく

(4)ネパール王国の概要と課題をつかむ

(5)環境保全と開発の調和が必要である

(6)ことなる世界で活動するために

(7)みずから表現できるように

(8)人材育成と山岳環境の保全を課題に

>> 2.ネパール・ヒマラヤの世界をみる

(1)現地訓練がすすむ

(2)トリブバン大学地質学科に赴任する

(3)ネパールになじむ

(4)ヒマラヤ山脈を調査する

(4-1)ヒマラヤの全体像をみる
(4-2)ネパール極東部・タプレジュン地域へいく
(4-3)カトマンドゥ盆地はヒマラヤのヘソである
(4-4)マレク地域で学生野外実習をおこなう
(4-5)タンセン地域で学生野外実習をおこなう
(4-6)カリガンダキ川上流をいく
(4-7)
シーカ谷をあるく

(5)トリブバン大学で活動をすすめる

>> 3.ヒマラヤは崩壊している

(1)現地語をまなぶことは文化をまなぶこと

(2)大自然としてのヒマラヤ

(3)重力場と重力移動

(4)ヒマラヤの環境破壊がすすむ

(5)人間社会と自然環境との不調和

>> 4.検証の旅

(1)ふたたびシーカ谷へ

(2)タプレジュン地域の地滑りをしらべる

(3)ネパール国王一家殺害事件の衝撃

(4)インドの旅

>> 5.構想

(1)国土の保全

(2)地質学科

(3)地域の活性化

(4)大自然の学校

(5)フィールドワーク

(6)危機管理

(7)目標

>> 6.国際協力の展開

(1)地震対策シンポジウムが開催される

(2)シーカ谷の写真判読をおこなう

(3)地球温暖化により氷河湖が決壊する

(4)シーカ谷の地滑り図をつくる

(5)ネパール極西部を検証する

(6)チトワン国立公園をみる

(7)パウダル村での国際協力

(8)住民参画による問題解決

(9)国家非常事態宣言が発令される

(10)タンセン地域で学生野外実習をおこなう

(11)バッタライ先生とともに

 

>> 7.アジアのスイスをめざせ

(1)地球の実験場

(2)文化的統一はできない

(3)ネパールはアジアのスイスをめざせ

>> 参考文献

 

>> HOME

(C) 2002 田野倉達弘