1.青年海外協力隊の派遣前訓練

青年海外協力隊駒ヶ根訓練所(中庭)
<長野県駒ヶ根市>

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<目次>

(1)ネパール語の訓練がはじまる
(2)ネパールから地質学の要請がある
(3)ネパール語の構文を中心に
(4)ネパール王国の概要と課題をつかむ
(5)環境保全と開発の調和が必要である
(6)ことなる世界で活動するために
(7)みずから表現できるように
(8)人材育成と山岳環境の保全を課題に


2002年7月17日発行

 

 

 

 (1)ネパール語の訓練がはじまる

 「ア・ア、イ・イ、ウ・ウ、エ・エ、オ・オウ、カ・カ、キ・キ・・・」きれいな母音がひびく。日本語の五十音とそっくりだ。これは、そもそも日本語の五十音図が、ネパール語の原型であるサンスクリット語の音図を簡略化してつくられたからだそうである。

 2000年1月11日、わたしたちのネパール語の訓練がはじまる。「メロ ナーム サヤミ ホ」(私の名前はサヤミです)。ネパール語をおしえてくれるのは、ネパール人のサヤミ先生である。今日は、ネパール語での自己紹介のやり方をおぼえる。

 わたしたちは、ネパール語の音図にしたがって発音(音声)と単語をすこしずつ習得していく。しばらくすると、合成子音をもつむずかしい単語の学習もはじまる。とりあえずおぼえる単語は約250語である。また一方で、1日に約1構文ずつ基本構文を習得し、文法の解説もうけていく。板書はすべて、ネパール語(デヴァナガリー文字)にローマ字が併記されていく。

 ネパール語はデヴァナガリー文字(サンスクリット語の文字)を使用する。ネパール語の発音と表記には合理的なシステムがあり、それはどんな音でもつくることができ、音と文字とは完全に一致していて、英語のように発音の例外・不規則は存在しない。日本語は単語を漢字で区別することが多いのに対して、ネパール語はすべて音で区別するという特性がある。日本語には漢字があるために、音の種類がすくなくなってしまったのだろうとのことである。発音の指導は、日本語とおなじ音から入り、日本語との比較あるいは日本語の音からの類推によりすすめられる。

 構文の方は、「〜です」「〜がある」「〜する」「〜する+名詞」「〜と感じた」「〜のようです」「〜がかかる」「〜できる」「〜によると」「〜しなければならない」「〜になりました」「〜するには〜しますが〜」とそれらの否定形について、おもに現在形のていねいな言い方を中心にすすめられる。

 ネパール語の語順は日本語とまったくおなじであるため、日本人にとっては楽である。日本語同様に文の最後をしっかり言う、または聞くことが大切である。また、わからなくなった時、混乱した時に、もどれる場所をつくっておくこと、つまり出発点となる基本構文をおぼえておくことが非常に重要であり、さらに、みずからの体験にむすびつけるとおぼえやすいことと、どの言語でも、その言語の特徴をはやくつかむことが大切であるとサヤミ先生はわたしたちにおしえてくれる。

 

 (2)ネパールから地質学の要請がある

 わたしたちとは、今年の春にネパール王国に派遣される予定の青年海外協力隊・平成11年度3次隊・隊員候補生である。今わたしたちは、長野県駒ヶ根市にある青年海外協力隊の訓練所において派遣前訓練にとりくんでいるのである。

 青年海外協力隊とは、日本政府が支援する公的なボランティア集団であり、1965年に発足し、世界の開発途上国に約2万人の隊員を派遣してきている。青年海外協力隊の活動の基本姿勢は「現地の人々とともに」という言葉に集約される。つまり、その国の人々とともに生活し、その国の人々とともに働き、彼らの言葉を話し、相互理解をはかりながら仕事を展開して、開発途上国の国づくり、人づくりに協力していく。そこには、ボランティア性・公募制という特徴があり、その活動は、あくまでも隊員一人一人が主体となってすすめられ、現地での活動期間は原則として2年間となっている。

 協力隊の募集は、各国からの要請にもとづいて毎年2回あり、選考試験に合格すると派遣前訓練をうけることができる。わたしへの要請内容は、「ネパール教育省トリブバン大学地質学研究室に勤務し、地質学全般について学生に指導をする。また、ネパール国内の地質調査(野外調査)をおこなうこともある。」というものである。(図:ネパール王国の位置)

 私は、大学・大学院では地球科学とくに地質学を専攻し、その一方で、過去2回にわたってネパールにおいてボランティア(NGO)活動をおこなった経験がある。今回の要請は、私の専門分野およびネパールでのボランティア活動の両面から適任の仕事であるとおもい応募した。青年海外協力隊については以前から関心をもっていて、募集案内書などは前にもみたことがあった。ネパールにおける地質学の募集は2年前にもおこなわれていたことをしっていて、かねてから、ネパールで地質学を通した国際協力の実践をしたいとおもっていた。

 派遣前訓練は合宿制で約3ヶ月間おこなわれる。訓練を修了してはじめて正式な協力隊員になり、それぞれの国に派遣されることになる。

 

  (3)ネパール語の構文を中心に

 1月28日からは構文を中心にした授業がすすめられ、ローマ字の併記はおこなわれなくなる。テキストはまったくつかわない。授業中は、例文を参考にして訓練生がみずからしゃべり、それをサヤミ先生が板書していく。自分がかんがえていること、心の内を積極的に発言しなければならない。自分の体験を話すようにする。あるとき単語カードをつくろうとしたら、単語カードや単語帳をつくっている暇があったら、ネパール語をしゃべるようにと指導される。授業の中では、ネパール人の生活様式についての説明も随時おこなわれる。

 構文としては、「〜よりも〜」「もっとも〜」「〜した方がよい」「〜しましょう」「〜している(進行形)」「〜のために」「〜することが得意です」「〜してあげる」「〜してくれる」「〜した後に」「〜した+名詞」「〜している」「〜したことがある」「〜しないで」「もう〜した」「〜しながら」「〜しつづける」「もし〜なら」「〜している間に」「よく〜したものです」「〜してしまう」とその否定形・過去形などをまなぶ。

 また毎朝、一人約10分間ネパール語によるスピーチをおこなう。話す内容は何でもかまわない。昼食時間には、ネパール語による会話が徹底しておこなわれ、相手の言葉にすぐに反応して話すことがもとめられる。また、週2回午後のみ、となりのシェルパ先生のクラスにいき、単語・発音・言い回し等の訓練をうける。ほかのネパール人の声になれることも重要である。そして、このころより夜に時々サヤミ先生の自宅から訓練所に電話がかかってきて、電話で話す訓練もおこなわれるようになる。顔がみえない状態で話すのはむずかしいが、かなり効果的な練習になる。

 このような訓練をつんで言語習得のコツをつかんだ人は、次の別の言語を習得するのもはやいそうである。語学はスポーツとおなじであり、語学のセンスがある人はあまり勉強しなくてもできるようになっていくが、そうでなくても、ただしい方法で練習をくりかえしていれば誰でもできるようになる。それが語学だそうである。

 2月7日には、中間テストがあり、筆記(和訳・作文等)、会話、リスニングのテストがおこなわれる。

 2月26・27日には、3人の在日ネパール人をむかえて「語学交流会」がおこなわれ、初日は訓練所で交流し、2日目にはスキー場にいきたのしいひと時をすごす。相手のはなしていることの1/5程度しか理解できなかったが、とてもたのしい体験であった。片言でも2日間ネパール人と実際に話し、ネパール語がどこまで通じるか認識できる。

 

 (4)ネパール王国の概要と課題をつかむ

 ネパール語の語学講座と平行してそのほかの各種講座もおこなわれる。1月17日には、任国事情講座としてネパール王国の概要について講義がすすむ。

 「ネパールは、南アジア、インドの北縁・ヒマラヤ山脈の南側斜面に発展した国で、その特徴は次のように集約できます。(1)生態系が多様である。(2)民族構成が複雑である。(3)インド文明の辺境に位置する。(4)内陸国である。(5)貧困問題とそれに対する援助の方法が問題になっている。これらのうち、生態系に関しては、低地から高地にむかって、亜熱帯・温帯モンスーン・高山寒冷帯といった多様な気候が存在し、民族構成に関しては、つよい身分階級制度が今でも機能しています。また貧困と援助の問題では、援助がらみの権力構造が生じているといわれています。」

 1月21日には、「任国での協力隊活動の現状と課題」について話がすすめられる。

 「ネパール王国は、1990年に民主化がおこりましたが、政府や社会情勢はそのご悪化をつづけていて不安定であり、民衆は混乱しています。また、研修のために日本にきた外国人の中で逃亡する人が多い国のひとつになっています。これは、背景に大きな貧困問題があるからであり、ある面ではやむをえないことになってしまっています。協力隊の協力分野は農業・医療・村落開発・教育となっています。現地に入ってからはできるだけはやくその国のリズムをつかむことが大切で、はやい人は6ヶ月でつかめます。現地の人に信頼されるには、誰にでもあう服装をし、いつも笑顔で挨拶することです。各自の配属先では、お客様でおわらせず、自分の位置をつくることが重要です。」

 そして1月29日には、「ネパールにおける協力活動の実際と生活環境」について話があすすむ。

 「配属先に配属されたら、まず、自分の位置をしることが重要です。前任者の話は半分くらいはきいておき、あとは自分で判断してください。ネパールの社会はカースト制であり、またコネがつよい社会でもあり、貧富の差もはげしいです。住居をえらぶ時は、水が確実に確保できるかどうか確認してください。ネパールでは、乾季によく水不足になります。」

 これらの任国事情講座により、ネパール王国は国土は非常に小さいが、その環境と民族の構成はきわめて多様であることがよく理解できた。したがって、この多様性を生かしつつ、それを統合していかなければならないことがこの国の大きな課題になっている。同時に、貧困(貧富の差の拡大)、人口急増と農業開発、国土開発と環境保全、王制と民主化のなどの問題が、特に1990年以後大問題になっていることがよくわかった。

 

 (5)環境保全と開発の調和が必要である

 2月2日には、選択講座「環境と開発」として、途上国における開発と環境保全の問題につて、実例をしめしながら講義がある。「今日、環境問題は、地域にとどまらず地球全体にひろがり、人類の最重要課題になっています。この地球環境問題への対応策をかんがえる場合、開発と環境との調和をはかる具体的な実践が必要です。途上国がかかえる環境問題の中では、大気汚染・水質汚濁・廃棄物処理などの公害問題、さらに自然環境問題が重視されており、国際協力における環境協力の課題は今後ますます大きくなってくるとかんがえられます。」

 講義の中では、ネパールにおける多目的ダム開発の事例もだされ、そこでは、ダム建設により生態系が変化してしまったことや、現地住民に移住や生業の変更が強要されたことなどが紹介され、ダム建設には、環境保全の観点から大きな問題がひそんでいることが強調された。ただし、ダム湖で魚の養殖などもおこない、湖水をより有効に利用していることもしめされた。

 今日、環境問題は地球規模に拡大し、それは地球環境問題とよばれ全人類的課題になっている。自然環境の破壊では地球温暖化なども大問題になっている。

 ネパールは世界最大の山岳国であり、山岳環境の崩壊が大きな問題になっていて、また地球温暖化の影響で、ヒマラヤ山脈の氷河湖が決壊し下流域に大きな被害をもたらしているという。山岳環境はもっとも破壊されやすい弱い環境の一つであるとかんがえられていて、同時に、環境問題が発生する背景には人口の増加があることもみのがすことはできない。私は、専門の地球科学・地質学の立場から、このような山岳環境の問題にもとりくんでいきたいとおもう。

 

 (6)ことなる世界で活動するために

 その他のカリキュラムとして、「協力隊講座・適正技術と協力手法」「安全管理講座」「野外訓練」「所外活動」「保健衛生講座」「体育講座」なども随時おこなわれる。

 協力隊講座・適正技術と協力手法では、国際協力事業団の技術顧問から講義がある。

 「現地では、自分にできることなら何でもよいから、自分の得意なものをとにかくだし、そこからじっくりとりかかるのがよいです。したがって、できないことはやらなくてもよく、いそぐ必要もありません。その時、その土地にはじめからあったものを生かすことも心がけましょう。また、日本は分業が極度にすすんでいますが、途上国ではトータル的なことをやらなければならないことに注意しなければなりません。ところで、日本に研修員をよんだにもかかわらず、どこかへ消えてしまう例が後をたちません。最近も、『さがさないでください』とメモをのこして消えてしまった女性がいました。研修員をえらぶ場合、このような点にも十分注意しなければなりません。」

 安全管理講座では、現地での危機管理の方法を過去の実例にもとづいてまなぶ。海外では、ひったくり・まちぶせ・強盗・誘拐・拉致・レイプ・爆弾テロなど凶悪な犯罪が発生している。しかし、物よりも命であることを肝に銘じて行動し、危機管理能力を身につけて十分警戒しながら生活していれば、これらは未然に防止することができる。

 野外訓練は、生活上の知恵・技術等を実践を通して習得するとともに、体力の維持・向上や協調性をやしなうためにおこなわれる。わたしは、魚の解体や鶏の解体(と殺)、ロープのむすび方を実習する。夜は、各班にわかれて解体した食材をつかって野外炊飯をする。2日目は、地図とコンパスをつかって周辺をあるくオリエンテーリングをおこなう。

 所外活動では、地域社会との交流をふかめつつ、不慣れな社会でのふるまいと行動をかんがえる機会をもつ。私は、ちかくの農家の坂間和夫さん宅にお世話になり農作業を手伝う。3日間というみじかい時間だったがとてもたのしくすごすことができる。ネパールにいっても、地域の人々とこのようにたのしく交流ができたらよいとおもう。

 

 (7)みずから表現できるように

 さて、ネパール語の訓練も毎日すすんでいる。3月6日(語学講座42日目)以降は、構文と会話を中心にして授業がすすめられる。構文としては、「〜だったんだ」「〜すればよかった」「〜しそうです」「〜する時」「〜をこなす」「〜しようとしている」「〜すればするほど」「どうやっても〜する」とその否定形など、色々な言い回しが順次指導されていく。

 ある時、「『立ち読み』は何と言ったらよいのだろうか?」サヤミ先生いわく「かわないで読んだと言えばよい。直訳をしようとむずかしくかんがえるのではなく、いかにやさしくくずして言うかを常にかんがえなければなりません。今まで勉強したことの中からひっぱりだしてきてしゃべり、意味をつたえることこそが必要です。」

 すべてをおぼえようとするのではなく、くみたてができるようにする。基本的な単語と法則(文法のこと)をおぼえて、いかにくみたてていくか、ただおぼえればよいというわけではなく、かんがえて くみたてていかなければならない。そのような意味で語学は数学とおなじようなものだそうである。

 また、特定の人とだけ話すのではなく、子供から老人までできるだけ多様な人々とたくさんはなすことが言語上達のために必要なことを強調しながら先生の話がすすむ。

 「外国語を習得するためには現地人の恋人をつくればよいという人がいますが、そういものではありません。『サヤミさんは、奥さんが日本人だから日本語がお上手なのですね』と言われてもこまります。もっとも重要なことは、身につけようという意志をその人が本当にもっているかどうかです。皆さんには意志がありますか。試験勉強をやっていてもまったく意味がありません。意志をもってみずからきりひらいていかなければなりません。私にも、日本語を本当に身につけようと決心した瞬間がありました。あとで勉強しようとするのではなく、今、勉強してください。わかっていることに自信をもち、わからないところがどこかをはっきりさせる。外国人で10年も日本にすんでいる人でも、日本語が上達しない人がいるように、ネパールにいってから言葉がのびる人とのびない人がいいます。のびる人になってください。」

 3月21日(語学講座52日目)は語学訓練の最終日である。訓練のしめくくりとして「語学発表会」がおこなわれ、各自がテーマをきめ10〜15分間スピーチをする。原稿はつくらず簡単なメモをみながら自分の言葉で自力ではなすことが要求され、したがって、事前の原稿のチェックなどはない。その方が訓練になるそうであり、みずから表現ができるようにならなくてはならない。私は「ネパールと私」というテーマで、ネパール探検家・文化人類学者の川喜田二郎教授の著作をよんだことがきっかけになり、ネパールに興味をもつようになったことを話す。

 そして3月23日には派遣前訓練の修了式が、翌24日には解散式がおこなわれ、わたしたちは、青年海外協力隊の隊員としてネパールに晴れて派遣されることになる。

 

 (8)人材育成と山岳環境の保全を課題に

 このように、青年海外協力隊の派遣前訓練は、そのボランティア精神をふまえて、ネパール語の語学訓練を中心にしてすすめれられ、同時に、国際協力の現状と課題についてもまなんだ。また、ことなる環境に適応して活動をすすめていくための各種訓練もおこなわれた。

 青年海外協力隊の隊員はボランティアであり、任国(現地)に入ったら、隊員一人一人が主体になって活動をすすめていくことが基本である。そこでは現地語をつかいこなしながら、現地の人々と一体になって仕事を展開していくことになる。

 これからいくヒマラヤの国・ネパール王国は様々な点で興味深い国である。ネパールは国土は非常に小さいが、その自然環境と民族の構成は世界でもっとも多様である。したがってそこは地質学や生態学・民族学の宝庫でもあり、国土全体が一つの野外博物館的な性格をもっていて、せまい範囲において様々な事象をみることができ興味がつきない。またネパールは、国土開発と環境保全、人口急増と農業開発、貧困と援助、多民族と国民統合、伝統と近代化、王制と民主化といった世界がかかえる重要問題がきわめて明確な形でつめこまれている特異な国であり、そこは世界的な諸問題の見本市のようにもなっている。このようにネパールという国は多様性とともに現代の諸問題をかかえこんでおり、その国土がせまいがゆえに、野外博物館的性格にくわえて世界の縮図的性格ももっているのである。

 わたしは、そのネパールからの要請をうけて大学の地質学科に勤務することになった。ネパールは急峻な山岳国であるため、山岳研究の本流である地質学のはたす役割が非常に大きいという理由からの要請である。わたしはそこで、応用地質学的な立場から人材育成・調査研究をおこない、ヒマラヤ山脈の環境保全あるいはネパールの国土保全の課題にとりくんでいきたいとおもう。

 今回の派遣前訓練によって、国際協力の課題を通して世界あるいは地球の全体情勢をみることができたので、今度は、ネパールというローカルな現場で実際に行動していくことになる。そこでは、ヒマラヤの大自然の中に入りこんで、一期一会の気持ちをもってすすんでいけたらとおもう。青年海外協力隊の派遣前訓練は内容がもりだくさんで、日本独特のつめこみ教育的な感じがしないでもなかったが、これで問題意識は十分にふかまった。

 

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