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照葉樹林文化論 -参考文献-

シーカ谷(ネパール)
> シーカ谷(ネパール)

*目次*
はじめに
文献リスト
コメント

はじめに

 ネパールにも納豆があるのをご存じだろうか。わたしは、ネパール極東部のイラムという町にいったときに納豆をたべた。現地ではキネマとよばれていた。日本の納豆と何らかわりない。知人のあるネパール人が日本でくらしはじめたとき、わたしはすぐに豆腐屋をおしえて納豆を買ってあげたこともある。
 照葉樹林とは照葉樹からなる林であり、照葉樹とは、常緑のカシ類のほかシイ・タブ・クス・ツバキなどで、表面がテカテカとひかる葉をもつのでこのようによばれる。この照葉樹が分布する地帯を照葉樹林帯という。
 ネパールでは、標高1500〜2500メートルのヒマラヤ中腹部に照葉樹林が存在する。照葉樹林帯は、ネパール中腹部から、ブータン〜アッサムをへて、ミャンマー北部を中心とする東南アジア北部山地〜雲南高地〜江南山地、そして朝鮮半島南部から西日本にまで達している。そこには、この地帯共通の文化的要素が多数みとめられる。納豆はそのひとつにすぎない。
 下記の各文献に付記した要点は、照葉樹林文化を理解するうえで重要なポイントをわたしがまとめたものであり、コメントは、わたしがかんがえたことを記したものである。

文献リスト

> 中尾佐助・佐々木高明著『照葉樹林文化と日本』くもん出版、1992年
> 中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』岩波新書、1966年
> 上山春平編『照葉樹林文化 -日本文化の深層-』中公新書、1969年
> 中尾佐助著『料理の起源』(NHKブックス)日本放送出版協会、1972年
> 上山春平・佐々木高明・中尾佐助著『続・照葉樹林文化 -東アジア文化の源流-』中公新書、1976年
> 佐々木高明著『照葉樹林文化の道 -ブータン・雲南から日本へ-』(NHKブックス)日本放送出版協会、1982年
> 上山春平・渡部忠世編『稲作文化 -照葉樹林文化の展開-』中公新書、1985年
> 佐々木高明著『日本文化の基層を探る -ナラ林文化と照葉樹林文化-』(NHKブックス)日本放送出版協会、1993年
> 佐々木高明著『照葉樹林文化帯の食文化 -日本文化のルーツを探る-』(作陽ブックレット)れんが書房新社、1999年
> 上山春平著『受容と創造の軌跡』(日本文明史 第1巻 日本文明史の構想)角川書店、1990年

コメント

 照葉樹林文化を理解するためには、中尾佐助・佐々木高明著『照葉樹林文化と日本』(くもん出版)が一番有用である。照葉樹林文化を日本の深層文化としてとらえ、照葉樹林文化論を日本探求につなげていくためには、佐々木高明著『日本文化の基層を探る -ナラ林文化と照葉樹林文化-』(NHKブックス)、さらに、上山春平著『受容と創造の軌跡』(日本文明史 第1巻 日本文明史の構想、角川書店)が役にたつだろう。
 それにしても、ヒマラヤから日本までの広大な地帯に共通の自然環境と文化があるというのはおどろきである。ヒマラヤから日本までがつながっているということを、もっと多くの人々がしらなければならない。
 そしてこれからは、中尾佐助氏の仮説を基礎にして、自然環境(地形・地質・気候など)のデータを補強し、自然史の観点からの考察をくわえ、さらに、照葉樹林と照葉樹林文化を生かした地域の活性化、地域づくりをおこなうといったことが課題になってくるだろう。


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2005年2月11日更新(C)田野倉達弘