<図解> 天の視点、地の視点
-世界百名山-

1.<白川義員写真展「アルプスから世界百名山へ」>

 2003年7月29日〜9月3日、東京・恵比寿にある東京都写真美術館において、白川義員写真展「アルプスから世界百名山へ」(前人未踏の旅路をゆく)が開催された。

 このプロジェクトは、白川氏の「地球再発見シリーズ」の一環であると同時に、日本人による前人未踏のパイオニアワークである。

 世界百名山の選定作業は1996年の年明けから開始される。

 撮影は1997年3月から開始され、2000年12月すべての撮影を終了し、写真展「世界百名山」の全国巡回を開始する。2002年写真集「世界百名山」が完成する。

 撮影された写真のほとんどは空撮であるため、おどろくべき迫力をもって眼前にせまってくる。

2.<天と地の二つの視点>

 百名山の峰々は天空と接し、山麓は大地へと根をおろしている。天空と大地とをつなぐ百名山は、天と地の共鳴の現場である。

 天空からみる「天の視点」により山々がつくりだす世界を一望におさめることができ、その世界の構造全体を一瞬のうちにとらえることができる。これは「空間的地理的な観点」といってもよい。

 一方、大地からみる「地の視点」により、こららはの山々は、大陸移動と造山運動の悠久の自然史がもたらした結果であり、大地には長大な歴史があることを想像させてくれる。これは「時間的歴史的な観点」といってもよい。

3.<航空写真の判読からフィールドワークへ>

 「天の視点」と「地の視点」は、「航空写真の判読」と「フィールドワーク」という二つの方法論に具体化することができる。

 ある世界をしらべる場合、まず、航空写真をよくみて全体像を一気につかんでおき、そのうえで、ここぞというフィールドにおりていくのがよい。全体をみて部分に入るということである。

 全体的なイメージをもったうえで、十分な時間をかけてフィールドワークをおこなえば、全体像の中に個々の情報をうめこみ整理することができる。そして、現場の情報をくみたてればその世界の歴史を想像することができる。

 「航空写真の判読」と「フィールドワーク」とは相互に補完しながら、よりふかい認識へと我々をみちびいてくれる。

 

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2003年10月26日 発行
(C) 2003 田野倉達弘