国際協力とKJ法 − ネパール・ヒマラヤでの実践 −

ネパール

参画型アプローチの事例を紹介します。国際協力に最適化したKJ法についてのべます。アクションリサーチのすすめ方を解説します。

このたび、アマゾン・キンドルストアより、電子書籍『国際協力とKJ法 - ネパール・ヒマラヤでの実践 -』(Kindle版)を出版しました。

以下に、「まえがき」と「目次」を掲載します。

まえがき

 国際協力を海外でおこなう場合、どのように具体的にすすめればよいか、おおきな課題です。熱意はあっても手法がなければなかなかうまくいきません。
 そこでKJ法が役だちます。KJ法とは、ヒマラヤ探検家で民族地理学者の川喜田二郎が創始した問題解決と発想の方法であり、創始者のイニシャルをとってKJ法と命名されました。
 わたしは、1994年から、KJ法本部・川喜田研究所(理事長:川喜田二郎)に主任研究員・研修講師として勤務し、日本国内で、KJ法の研究開発にたずさわるとともに、研修会をひらき日本人にKJ法を指導してきました。そして1997年、海外における最初のKJ法研修会をネパールで開催しました。そこでは、それまでの国内での経験がおおいに役だちました。
 その後、2000年に、青年海外協力隊の一員としてネパールに赴任、国際協力活動を本格化させました。そしてKJ法を活用しながら国際協力をすすめ、国際協力にKJ法を最適化させるなかで参画型アプローチを確立し、またアクションリサーチの重要性に気がつきました。
 本書は、ネパール・ヒマラヤにおけるKJ法実践の報告であり、KJ法をつかった国際協力の記録です。
 本書におさめた報告・論考は、まえがきとあとがきをのぞき、いずれもかつて発表したものです。理解をたすけるために、すべての項に解説をつけ、それがかかれた経緯・背景などをしるしました。解説はすべて、2023年3月にかいたものです。なお本文中の所属・肩書・呼称・地名なども初出時のままとしました。
 第1章では、ネパール・ポカラでひらかれたKJ法研修会についてのべます。第2章では、ネパールでおこなったNGO活動の実例を紹介します。第3章では、日本人が参加したエコツーリズムについて説明します。第4章では、ネパール・ヒマラヤの環境保全活動についてまとめます。第5章では、参画型アプローチと発想法について概説します。第6章では全体をふりかえり、アクションリサーチの重要性とそのすすめ方について解説します。
 本書は、ネパール事業地の皆さん、現地NGOスタッフ、ヒマラヤ保全協会やネパールNGOネットワークなどのスタッフやメンバー、エコツアー参加者、事業をささえてくださったサポーターの皆さんなど、たくさんの方々との協働・やりとりによってうまれました。ここに明記して、こころより感謝の意を表します。

目次

第1章 ネパールでのKJ法研修会
 1. 入門編
 2. 応用編
第2章 NGOプロジェクト
 1. 計画立案
 2. パウダル村のプロジェクト
 3. パウダル村、その後
 4. 事業評価
 5. 検証の旅
第3章 エコツーリズム
 1. 山岳エコロジースクール
 2. ヒマラヤへの持ち物
 3. 伝統と開発の狭間 -美観地区の提唱-
 4. 現地の人々とともに
 5. 日本の教訓をいかせ
 6. 新事業地訪問
 7. 2つの村を比較する
 8. 開発の波
 9. 環境をまもるために
 10. グローバル化と異文化体験
 11. カーストとは何か
第4章 ヒマラヤの大自然を未来につなぐ国際協力
 1. NGO活動をすすめる
 2. ファンドレイジング
 4. 百聞は一見にしかず
 5. アクションリサーチ
 6. 「ダウラギリ」プロジェクト
第5章 参画型アプローチと発想法
 1. 参画型アプローチ
 2. 発想法
第6章 フィールドワークからアクションリサーチへ
 1. 登山・探検、フィールドワークから技術協力へ
 2. 国際協力プロジェクトを推進する
 3. 森林を再生させ環境を保全する
 4. 住民の生活に根差した「生活林」をつくる
 5. 「主体-環境」系として事業地をとらえる
 6. 参画型アプローチは7ステップからなる
あとがき
参考文献

あとがきでは、人間主体の情報処理、情報をファイル化する方法、ファイルのしくみ、ファイルの原理などについてものべました。ぜひ参考にしてください。

▼ 文献
田野倉達弘(著)『国際協力とKJ法  ネパール・ヒマラヤでの実践 −』, 2023年3月29日, Kindle版

(冒頭写真:ネパール・ヒマラヤ、モハレダーラ(3300m)にて、左端の高峰はマチャプチャレ(6993m)、2012年 撮影)

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