「氷河のささやき」をとらえる(日経サイエンス 2022.04号)

地球温暖化により山岳氷河が崩壊します。下流域に危険がせまります。超低周波音をつかって氷河崩壊をとらえます。

氷河の崩壊を検出・監視するあたらしい技術が開発されました(注)。

氷河は非常にゆっくりと動いているため,通常は超低周波音の信号(気圧の微小な変化をとらえる装置によって検出する)を発しない。だが氷河本体から突如として氷が急速に剥がれ落ちる場合には,超低周波音がたくさん発生する。

「氷河のささやき」, 日経サイエンス, 2022年4月号

大気中で長距離をつたわる超低周波音(インフラサウンド) はとおくから活火山を監視するのにすでにつかわれています。

氷河の崩壊をとらえるためにはレーダーがつかわれることがおおいですが、これは正確ですが費用がかかり、監視できるのは特定の1ヵ所とそれに隣接する氷なだれの通り道とにかぎられます。これに対し、超低周波音を利用する方法は安価で、広範囲にわたって崩落を検知でき、1つの山で発生する複数の氷なだれを把握できます。

地球温暖化で広大な氷原が脆弱になり氷河崩壊のリスクがたかまり、山岳地帯の人々に危険がせまっています。あたらしいこの技術はヒマラヤ氷河でも活用すべきです。

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▼ 注:参考文献
「氷河のささやき」, p.25, 日経サイエンス, 610, 2022年4月号

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