KJ法のコツ(21) − 図解化(全体図)−

情報処理

3D 階層構造をイメージします。個即全・全即個のファイルの体系です。かならずまとまります。

これまで、KJ法のコツ(18)「インデックス図解」同(19)「細部図解 ①〜②」同(20)「細部図解 ③〜⑦」の順で図解をつくってきました。そこでは、インデックス図解と細部図解をわけてつくりましたが、以下のように1枚の図解にまとめて表現することもできます。

ネパール西部、サリジャ村 状況把握

一般的に、元ラベルがとてもおおいときには、インデックス図解と細部図解にわけたほうがよいですが、図解をわけるか、あるいは1枚の図解(全体図)にするかは用途に応じて選択すればよく、どちらでもよいです。両方つくってもかまいません。

これで、図解化がおわりました。つぎは文章化です。

3Dイメージ

KJ法図解は、3次元(立体)の図解を2次元(平面)に投影して表現しています。インデックス図解と細部図解をみればあきらかなように、インデックス図解が最上位であり、細部図解がその下にきます。細部図解をみても、高次の島の下に低次の島が位置し、最下位には元ラベルがきて、さらにデータカードがその下に潜在しています。すべてを1枚にまとめた図解(全体図)をみた場合でも、このような3次元をイメージすることができます。今日では、コンピューターをつかってそのような3D画像をつくれるでしょうが、みずからイメージすることによってイメージ能力(心象力)がつよまり、そのような訓練をくりかえすことによってみずからの情報処理能力をたかめることができます。

個即全・全即個のファイルの体系

KJ法図解は、大きな島のなかに中ぐらいの島があり、さらにそのなかに小さな島があり、さらにそのなかに元ラベルが存在するという階層構造(多重構造)になっています。元ラベルと島々ががっちりくみあわさった相互関連のネットワークができており、それらは原因と結果の関係でむすばれているのではありません。元ラベル即島、島即元ラベルの関係といってもよいでしょう。

KJ法図解の島はどれも情報のひとまとまり(情報の単位)、つまりファイルであり、元ラベルも、データカードつまりファイルの見出しですから、KJ法図解はファイルの体系だといえます。個々のファイルが全体ファイルをいかし、全体ファイルが個々のファイルをいかす構造になっていて、相互関係によって構成され、個が先でもなく、全が先でもありません。個即全・全即個であり、あるいは西田哲学流に、多即一・一即多といってもよく、これは、世界や宇宙の認識にも通じます。KJ法図解によって、このような構造と仕組みを視覚的・体験的に理解することができます。全が個を制御する仕組みではないことに注意してください。

かならずまとまる

グループ編成そして図解化をしてみると、元ラベルがどんなにたくさんあっても、最終的な島の数は10以内(おおくの場合7つ前後)になることが経験的にしられています。うったえる内容がことなるデータがいくらおおくても最終的には10種以内にまとまります。このことは、多様性というものは無限にひろがってしまい収拾がつかないということはありえないことをしめしています。複雑怪奇な現象に遭遇したとしてもそれをとりまとめ、解決策をみいだすことがかならずできます。

まとめ

  1. 1枚の図解にすべてをあらわす全体図をつくることもできます。
  2. 元ラベルがおおい場合は、一般的に、インデックス図解と細部図解にわけます。
  3. ファイルの階層構造を立体的にイメージします。
  4. 個即全・全即個の仕組みをとらえます。
  5. うったえる内容がことなる元ラベル(データ)がどんなにおおくてもかならずまとまります。

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KJ法のコツ(21) − 図解化(全体図)−

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日本語の作文法 ー 原則をつかう ー

▼ 参考文献

KJ法
野外科学と実験科学
KJ法実践記
西田幾多郎 絶対矛盾的自己同一

川喜田二郎(著)『野外科学の思想と方法』(川喜田二郎著作集 第3巻)、1996年、中央公論社
川喜田二郎(著)『KJ法 渾沌をして語らしめる』(川喜田二郎著作集 第5巻)、1996年、中央公論社
田野倉達弘(著)『野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『KJ法実践記 情報処理と問題解決』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『国際協力とKJ法 ネパール・ヒマラヤでの実践』、2024年、アマゾンKindle
西田幾多郎(著)『絶対矛盾的自己同一』(青空文庫)、2012年、アマゾンKindle

(冒頭写真:ネパール、カスキ郡、ビレタンティ村、1998年2月19日、筆者撮影)

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