グループを解除します。中味を展開します。島どりします。
インデックス図解ができたら、シンボルマークごとに細部図解をつくっていきます。
インデックス図解の左上の「住み分け」からはじめます。「住み分け」のシンボルマークとラベルの束をとりだし、「グループ解除」をし、表札を上にずらし、表札の下の中味をだします。下図のように、元ラベル(47)(48)の上部にこれらの表札(4-4)をずらしておき、中味の元ラベル(47)( 48)をすわりのよい位置に空間配置します(どちらを左においた方がよいか、かんがえます)。元ラベル(47)と元ラベル(48)はともに黒点3個ですから(同格であり)、「一匹狼」のまま3段目まであがってきたものであり、これらは3段目であつまり(セットになり)、表札「4-4」ができました。

元ラベルを線でかこみます。これを「島どり」といい、島どりでかこんだ領域を「島」といいます。

表札は枠を消し、島の外側にそうように表示します(手書きの場合は転記します)。

最後に、タイトルと4注記を記入します。

これで、細部図解 ① は完成しました。
つぎに、細部図解 ②「コミュニティ」をつくります。束をとりだし、グループを解除し、中味をだし、表札は上部にずらし、表札の下部に中味をおきます。下図において、左下の「5-2」は5段目でつくった表札であり、右下の「3-3(黒点5個)」は、3段目でつくった表札が5段目まであがってきたことをしめしています。「5-2」と「3-3(黒点5個)」は同格であり、これらの表札が「6-1」です。

つぎに、「5-2」と「3-3(黒点5個)」の中味をだします。同格の表札の中味(おなじレベル)を並列的に展開します。全体のバランスをみながらすわりのよい空間配置をさがします。
さらに下の段、「4-7」と「4-5」を展開します(おなじレベルを並列的に展開します)。
「3-6」と「(41)黒点3個」の表札が「4-7」です。「2-4(黒点3個)」と「(34)黒点3個」と「(2)黒点3個」の表札が「4−5」です。「4-7」と「4-5」の表札が「5-2」です。グループ編成の段階(過程)がそのまま図解に反映されます。
さらに下の段の中味をだします(おなじレベルを並列的に展開します)。すわりのよい配置にします。上下、左右、いろいろならべかえてみます。横においても縦においてもかまいません。
上図の左下、「(6)黒点2個」と「2-9」の表札が「3-6」、「3-6」と「(41)黒点3個」の表札が「4-7」です。その右、「(3)黒点1個」と「(4)黒点1個」の表札が「2-4(黒点3個)」です。「2-4(黒点3個)」と「(34)黒点3個」と「(2)黒点3個」の表札が「4-5」です。その右、「2-5」と「(28)黒点2個」の表札が「3-3(黒点5個)」です。中味と表札の段階を確認しながら空間配置をしてください。
さらに下の段の中味をだします。元ラベルまで、すべてのラベルを展開します。()が記入されたラベルが元ラベルです。
左下、「(5)黒点1個」と「(7)黒点1個」が元ラベルであり、これらの表札が「2-9」です。「(6)黒点2個」と「2-9」の表札が「3-6」です。その右、「(3)黒点1個」と「(4)黒点1個」の表札が「2-4(黒点3個)」です。「2-4(黒点3個)」と「(34)黒点3個」と「(2)黒点3個」の表札が「4-5」です。その右、「(38)黒点1個」と「(48)黒点1個」の表札が「2-5」です。
グループ編成の段階(過程)を確認しながら、おなじレベルを並列的に、全体的なバランスをみて空間配置をしてください。
すべてを展開しおわったら、島どりにすすみます。まず、最下段のグループ編成であつまった元ラベルのセットを島どりし、その表札の枠の線を消し、島の外側にそって表示します(手書きの場合は転記します)。
最下段の島どりがおわったら、その上の段の島どりをします。おなじレベルの島どりを並列的にすすめていきます。島の外側にそって見出しのように表札を表示します。わかりやすくするために、島どりの線は、上段の島ほど太くし、表札も、上段のものほど大きくします。
順次、上の段の島どりをし、表札をつけていきます。視覚的にわかりやすくするためにラベルの位置は微修正してもかまいません。
最後に、タイトルと4注記を記入します。
*
細部図解 ② をみればあきらかなように、KJ法図解は、大きな島のなかに中ぐらいの島があり、中ぐらいの島のなかに小さな島があるという階層構造(多重構造)になっていることが視覚的にわかります。これは、グループ編成の段階(過程)を反映しており、表札につけた番号と黒点の数をみなおせば階層構造を確実に表現できます。
どの島も情報のひとまとまり(情報の単位)、つまりファイルですから、大ファイルのなかに中ファイルがあり、中ファイルなかに小ファイルがあり、元ラベルの下にはデータカードが潜在するのであり、ファイルは階層構造をなすことがわかります。

ファイルの階層構造を理屈ではなく、空間的な並列処理を実際に体験しながら、グラフィックに表現できるというのが図解化の本質であり、こうして言語とイメージをむすびつけながら認識をふかめていくことができます。
まとめ
- ラベルの束をとりだします。
- グループを解除します。
- 表札を上部にずらし、中味をだします。
- 表札につけた番号と黒点の数を確認しながら、上段から下段へ並列的にラベルを順次展開し、空間配置していきます。
- 表札につけた番号と黒点の数を確認しながら、下段から上段へ並列的に順次 島どりをし、島にそって表札を表示していきます。
- みやすくするために、上段の島ほど太い線に、上段の表札ほど大きな字にします。
- タイトルと4注記を記入します。
▼ 関連記事「KJ法のコツ」
KJ法のコツ(1) − データカード −
KJ法のコツ(2) − 見出しづくり −
KJ法のコツ(3) − ラベルづくりとラベルひろげ −
KJ法のコツ(4) − ラベルと記憶 −
KJ法のコツ(5) − ラベルあつめ −
KJ法のコツ(6) − 相対的にとらえる −
KJ法のコツ(7) − 表札づくり −
KJ法のコツ(8) − ラベルひろげとラベルあつめ(2段目)−
KJ法のコツ(9) − 表札づくり(2段目)−
KJ法のコツ(10) − ラベルひろげとラベルあつめ(3段目)−
KJ法のコツ(11) − 表札づくり(3段目)−
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KJ法のコツ(14) − グループ編成(5段目)−
KJ法のコツ(15) − グループ編成(6段目)−
KJ法のコツ(16) − グループ編成と情報処理 −
KJ法のコツ(17)− シンボルマーク −
KJ法のコツ(18) − 図解化(空間配置とインデックス図解)−
KJ法のコツ(19) − 図解化(細部図解 ①〜②)−
KJ法のコツ(20) − 図解化(細部図解 ③〜⑦)−
KJ法のコツ(21) − 図解化(全体図)−
▼ 関連記事「日本語の作文法」
日本語の作文法 ー 原則をつかう ー
▼ 参考文献
川喜田二郎(著)『野外科学の思想と方法』(川喜田二郎著作集 第3巻)、1996年、中央公論社
川喜田二郎(著)『KJ法 渾沌をして語らしめる』(川喜田二郎著作集 第5巻)、1996年、中央公論社
田野倉達弘(著)『野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『KJ法実践記 情報処理と問題解決』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『国際協力とKJ法 ネパール・ヒマラヤでの実践』、2024年、アマゾンKindle
(冒頭写真:ネパール、カスキ郡、ポカラ市、フェア湖、1998年2月18日、筆者撮影)