KJ法のコツ(14) − グループ編成(5段目)−

情報処理

ラベルをひろげ大観します。類似するラベルをあつめます。表札をつけます。

KJ法のコツ(13)表札づくり「核融合法」により、4段目のグループ編成(ラベルひろげ→ラベルあつめ→表札づくり)がおわったので5段目の「グループ編成」(第5サイクル)にすすみます。

まず「ラベルひろげ」です。表札をつけたラベルの束と一匹狼のラベルのすべてを縦横にならべ大観します。全体を丸ごとインプットします。すぐにはラベルをうごかしません。4段目の表札をつけたラベルの束は表札の文面をもつ1枚のラベルとみなし、4段目の一匹狼のラベルと同格としてあつかいます。すなわち右下隅に、「4-1、4-2、4-3・・・」と記入したラベルと、黒点4つ「・・・・」をつけたラベルは同格です。

KJ法のコツ

つぎに「ラベルあつめ」(5段目)です。ひろげたラベルを左上から下へ順次よんでいき、ついですぐ右の列を上から下へよんでいき、さらに右の列を、というようによみすすみ、最後までよんだら、ふたたび最初のラベルにもどり、また同様によんでいき、このサイクルを約5回くりかえし全体観をつかみます。フィールド(現場)の「声」に耳をかたむけ、それらがうったえかけてくる志をきくようにします。

5回ぐらいよむと、このラベルとあのラベルとは、ほかのどのラベルよりも志が似ている、同じではないけれども他とくらべて志が近いと感じられるラベルが目についてきます。それらのラベルを1ヵ所にあつめ、ラベルの縁をかさねます(セットにします)。自然にあつまるラベルだけをセットにすればよく、無理にあつめないようにします。

KJ法のコツ

2組のセットができました。

これらに表札をつけます。表札づくり「核融合法」を今回もつかいます。セットになったラベルをそれぞれかさね、あたらしい空白のラベルをその上にのせます。

KJ法のコツ

1組のセットをとりだし、元ラベルをよんで、それぞれのラベルの志の核心を「殺し文句」にしてシンボリックに書きだします。つぎに、ラベルは かくし(みないで)殺し文句だけをみて、そのセットを同時にみつつその全体感を心におさめ、その意味を要約して「たたき台」の文として はきだします。そして、ラベルをあらためてみなおし照合し、補足・訂正・圧縮し、表札とします。ラベルの右下隅には、5段目の「表札」であることをしめすために「5-1、5-2」と記入します。

KJ法のコツ

表札をつけたセットを元の場所にもどします。

5段目においてはセットにはならず一匹狼としてのこったもの、つまり「5-1、5-2」と右下隅に記入されていないものについては、それらが5段目の一匹狼であることをしめすために、ラベルの右下隅に黒点5個「・・・・・」を記入します。4段目のときに一匹狼としてのこっていたもの、つまり黒点4個「・・・」がすでに記入されているものについては、黒点1個を追加して「・・・・・」とします。

KJ法のコツ

これで、5段目のグループ編成(ラベルひろげ→ラベルあつめ→表札づくり)はおわりです。

まとめ

  1. ラベルをひろげ大観します。
  2. ラベルを並列的に処理し、類似するラベルをあつめます。
  3. あつまった2枚ないし3枚のラベルを統合し、表札をつくります。

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日本語の作文法 ー 原則をつかう ー

▼ 参考文献

KJ法
野外科学と実験科学
KJ法実践記

川喜田二郎(著)『野外科学の思想と方法』(川喜田二郎著作集 第3巻)、1996年、中央公論社
川喜田二郎(著)『KJ法 渾沌をして語らしめる』(川喜田二郎著作集 第5巻)、1996年、中央公論社
田野倉達弘(著)『野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『KJ法実践記 情報処理と問題解決』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『国際協力とKJ法 ネパール・ヒマラヤでの実践』、2024年、アマゾンKindle

(冒頭写真:ネパール、カスキ郡、ベグナス湖、1997年12月9日、筆者撮影)

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