KJ法のコツ(12) − ラベルひろげとラベルあつめ(4段目)−

情報処理

3段目と同様に、ラベルをひろげ大観します。それぞれのラベルの志を感じとります。類似するラベルをあつめます。

KJ法のコツ(11)「表札づくり(3段目)」により、3段目の「グループ編成」(ラベルひろげ→ラベルあつめ→表札づくり)がおわったので4段目の「グループ編成」(第4サイクル)にすすみます。

まず「ラベルひろげ」です(下図)。表札をつけたラベルの束と一匹狼のラベルのすべてを縦横にならべ大観します。中心視野だけでなく周辺視野もつかって全体を丸ごとインプットします。すぐにはラベルをうごかしません。3段目の表札をつけたラベルの束は表札の文面をもつ1枚のラベルとみなし、3段目の一匹狼のラベルとまったく同格としてあつかいます。すなわち右下隅に、「3-1、3-2、3-3・・・」と記入したラベルと、黒点3つ「・・・」をつけたラベルは同格です。

KJ法のコツ

つぎに「ラベルあつめ」(4段目)です。ひろげたラベルを左上から下へ順次よんでいき、ついですぐ右の列を上から下へよんでいき、さらに右の列を、というようによみすすみ、最後までよんだら、ふたたび最初のラベルにもどり、また同様によんでいき、このサイクルを約5回くりかえし全体観をつかみます。フィールド(現場)の「声」に耳をかたむけ、それらがうったえかけてくる志をしっかりきくようにします。

5回ぐらいよむと、このラベルとあのラベルとは、ほかのどのラベルよりも志が似ている、同じではないけれども他とくらべて志が近いと感じられるラベルが目についてきます。

それらの類似するラベルを1ヵ所にあつめ、ラベルの縁をかさねます(セットにします)。セットになるラベルは2〜3枚とします。

元ラベルとセットになったラベルのすべてをくりかえしよんでいると、ラベルのセットがあちこちにいくつもできてきます(下図)。ただし自然にあつまるラベルだけをセットにすればよく、無理にあつめないようにします。「このラベルとセットになるラベルはどれだったか?」などとさがさないようにします。あまりあつまらなかったとしても、表札をつけて次の段にあがればおのずとあつまってきます。

KJ法のコツ

8組のセットができました。

つぎに4段目の表札をつくっていきます。3次元空間でラベルを並列処理することによって情報処理がすすみます。高さ方向もイメージしてください。

まとめ

  1. 表札をつけたラベルの束と一匹狼のラベルのすべてをひろげ大観します(ラベルひろげ)。
  2. 類似するラベルを1ヵ所にあつめセットにします(ラベルあつめ)。
  3. 3次元空間をイメージしながら並列処理をすすめます。

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日本語の作文法 ー 原則をつかう ー

▼ 参考文献

KJ法
野外科学と実験科学
KJ法実践記

川喜田二郎(著)『野外科学の思想と方法』(川喜田二郎著作集 第3巻)、1996年、中央公論社
川喜田二郎(著)『KJ法 渾沌をして語らしめる』(川喜田二郎著作集 第5巻)、1996年、中央公論社
田野倉達弘(著)『野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『KJ法実践記 情報処理と問題解決』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『国際協力とKJ法 ネパール・ヒマラヤでの実践』、2024年、アマゾンKindle

(冒頭写真:ネパール、カスキ郡、ポカラ、セティ川、1997年12月6日、筆者撮影)

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