KJ法のコツ(4) − ラベルと記憶 −

情報処理

話のひとまとまりをとらえラベルをつくります。情報の本体を記憶にとどめます。形にはとらわれずファイルをつかいこなします。

先日、林修の今知りたいでしょ!「睡眠のお悩み 世界的権威が全部解消スペシャル」がテレビ朝日で放送されました(注)。睡眠は、人間主体の情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)のプロセシングのためにきわめて重要です。

番組を視聴しながら、話のひとまとまりをとらえ、それぞれの話(内容)について以下のようなラベルをつくってみました。

睡眠のお悩み全部解決
話のひとまとまりごとにラベルをつくった

これらは、それぞれの内容(情報)のひとまとまりについて見出し(要約)をかんがえ、ラベルに記入したものです。

ただし今回は、データカード(の本文に相当するもの)は時間がなかったため省略し、記憶にとどめることにしました。情報の本体は心のなかに存在します。つまり、ファイルのラベル(表面構造)のみをつくり、情報の本体(潜在構造)は記憶、ということになります。このファイルは記憶ファイルといってもよいでしょう。

記憶ファイル
記憶ファイルのモデル

ラベルをみれば記憶をすぐに想起でき、情報の本体をひっぱりだすことができます。この仕組みは記憶法としてつかうこともできます。記憶とは、心のなかに情報をファイルすることであり、記憶はつねに潜在しています。

このようなことは誰もがよくおこなっていることですが、ここでしめしたようにファイルを意識しておこなうようにすれば記憶が鮮明になり、情報処理速度もはやまります。たとえば旅先で何かをみたりきいたりしたとき、あるいは興味のある資料や本をよんだとき、あるいは関係者にインタビューしたときなどに、情報のひとまとまり(単位)をとらえ、それらのラベルをどんどんつくっていくとよいでしょう。

KJ法には、「パルス討論」という討論法があり、そこでは書記はおかず、みずからの発言のひとまとまりを要約してラベルにみずから記入するようにしています。そのときも、データカード(の本文)は作成せず、発言の詳細は記憶にとどめます。記憶ファイルを活用します。

ファイルには、データカード、メモアプリ、ブログ、コンピューター・ファイル、記憶ファイルといったさまざまな形式がありますが、そのような形にはとらわれずにファイルの本質・仕組みに気がつき、それをつかいこなしていくことが大事です。

まとめ

  1. 情報のひとまとまり(単位)をとらえラベルをつくります。
  2. 記憶ファイルをつくるときは情報の本体は記憶にとどめます。
  3. ラベルをみて記憶を想起します(情報の本体をひっぱりだします)。
  4. ファイルをつねに意識します。
  5. 形にはとらわれずにファイルをつかいこなします。

▼ 注
林修の今知りたいでしょ!、講師:柳沢正史、2025年2月20日放送、テレビ朝日

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日本語の作文法 ー 原則をつかう ー

▼ 参考文献

KJ法
野外科学と実験科学
KJ法実践記

川喜田二郎(著)『野外科学の思想と方法』(川喜田二郎著作集 第3巻)、1996年、中央公論社
川喜田二郎(著)『KJ法 渾沌をして語らしめる』(川喜田二郎著作集 第5巻)、1996年、中央公論社
田野倉達弘(著)『野外科学と実験科学 − 仮説法の展開 −』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『KJ法実践記 情報処理と問題解決』、2023年、アマゾンKindle
田野倉達弘(著)『国際協力とKJ法 ネパール・ヒマラヤでの実践』、2024年、アマゾンKindle
栗田昌裕(著)『絶対忘れない! 記憶力超速アップ術』、2010年、日本文芸社

(冒頭写真:ネパール、カトマンドゥ盆地、バグマティ川、1997年11月19日、筆者撮影)

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