前置詞 ③(NHKラジオ英会話, 2025.06)

情報処理

中核イメージから連想します。類似情報をむすびつけます。理解と記憶がすすみます。

NHK ラジオ英会話、6月は前置詞の最終月でした。前置詞は感覚的につかわれる表現です。くりかえし音読・暗唱しながらその感覚を体にたたきこみます。各レッスンのキーセンテンスは以下のとおりです。和訳は(注)にしめしました。

Lesson 41 前置詞 to ① ── to の基本

Did I tell you that I went to the new Big West Coffee near our school?

Lesson 42 前置詞 to ② ── 距離は必須ではない

Please keep this to yourself.

Lesson 43 前置詞 to ③ ── そのほかの使い方

To the best of my knowledge, most of her relatives live there.

Lesson 44 前置詞 for ① ── for の基本

They’re not for me really.

Lesson 46 前置詞 for ② ── 目的

This is for making fresh pasta.

Lesson 47 前置詞 for ③ ── 求めて

I’m dying for mutton curry.

Lesson 48 前置詞 for ④ ── 範囲限定

I was on the show for about two years.

Lesson 49 前置詞 for ⑤ ── 理由・原因

I woke up late for some reason.

Lesson 51 前置詞 for ⑥ ── for を用いたフレーズ

I’m getting ready for the next robotics conference.

Lesson 52 前置詞 under

This building is under construction.

Lesson 53 前置詞 through

We went through some tough times back then.

Lesson 54 前置詞 above

There was a dangerous object falling above her head.

Lesson 56 前置詞 like

That volcano is like the symbol of Kagoshima.

Lesson 57 前置詞 from

She wishes us good luck from England.

Lesson 58 前置詞 of ①

I want to see the mask of Tutankhamen.

Lesson 59 前置詞 of ②

Was he a person of some importance?

(注)
  • 41 私たちの学校の近くの新しいビッグ・ウエスト・コーヒーに私が行ったことをあなたに私は話しましたか?
  • 42 これは内密にしておいてください。
  • 43 私が知るかぎり、彼女の親戚のほとんどはそこに住んでいます。
  • 44 それらは、私の好みにはあまり合いません。
  • 46 これは生パスタを作るためのものです。
  • 47 私はマトンカレーが食べたくてたまりません。
  • 48 私はこの番組に2年くらい出ていました。
  • 49 私は何らかの理由で寝坊しました。
  • 51 私は、次のロボット工学会議に向けての準備をしています。
  • 52 この建物は建設工事中です。
  • 53 あのころ、私たちはいくつか大変な経験をしました。
  • 54 彼女の頭の上に落ちてきた危険な物がありました。
  • 55 あの火山は鹿児島のシンボルのようなものです。
  • 56 彼女は、イングランドから私たちの幸運を願っています。
  • 57 私は、ツタンカーメンのマスクを見たいです。
  • 58 彼はかなり重要な人だったのでしょうか?

各前置詞の中核イメージとそこから派生するイメージはつぎのとおりです。

  • to:到達点 → 指し示す(矢印⇨)、限度
  • for:向かって → 目的(~するために)、求めて、注視・フォーカス、範囲、理由・原因、~の準備をする
  • under:~の下
  • through:(トンネルのような筒状のものを)通り抜ける
  • above:高さが上
  • like:~のような
  • from:起点から離れる
  • of:名詞で説明する意識

to は、その中核イメージ「到達点」から「指し示す(矢印⇨)」が派生します。到達点を指し示すだけであり、そこにいたる移動は必須ではありません。「to the best of my knowledge(私が知るかぎり)」のように到達点で限度をあらわすこともできます。「~へ」といった日本語訳をおぼえていてもつかいこなせません。

for は、とても多彩に拡張します。中核イメージは「向かって」という位置関係であり、到達点の to とはことなり距離があります。「向かって」は、「目的(~するために)」、「求めて」、「注視・フォーカス」へ派生します。注視・フォーカスから、「範囲」、「理由・原因」が派生します。「for about two years(約2年間)」など、ある範囲に限定してのべるときのつかい方も自然に理解できます。そちらを向いて話をしているというイメージをえがいてつかいます。機械的にただ暗記してイメージしない勉強法はよくありません。

above は、単なる「高さが上」です。真上にはかぎらず、高さが上ならつかうことができます。ただし覆うニュアンスはありません。

of は、前置詞の中でもっとも意味のうすい単語であり、位置関係がしっかりとはイメージされません。単に、「名詞で説明する」意識でつかいます。

実際に外国にいって英語をつかってみると前置詞を多少まちがってもけっこう通じてしまいます。こまかいことにこだわっていると旅行やフィールドワークをたのしむことはできません。しかし前置詞に対する解像度があがってくれば英語のニュアンスが直接わかるようになります。英語がおもしろくなります。

イメージをつかった勉強法をとりいれればそれほど労力をかけなくても前置詞が習得できます。中核となるイメージをまずおぼえ、そしてそこから派生するイメージを連想します。派生イメージは中核イメージにむすびつけて記憶します。すでにもっている情報に類似情報をむすびつけることは理解と記憶の基本でもあります。日本語訳にたよっていたときよりもはるかに自信をもって英語がつかえるようになります。

※ 単語をみてイメージし、イメージして単語をいう練習をします(画像は、NHKテキスト『ラジオ英会話 2025年6月号』から引用)。

前置詞イメージ

(クリック(タップ)で拡大)

▼ ラジオ英会話「フレーズ集(キーセンテンス集)」

ゴガクル(NHKエデュケーショナル)

▼ 参考文献(テキスト) & 音声教材
ラジオ英会話

『NHK ラジオ英会話』(2025年6月号、NHK テキスト), 2025年, NHK 出版

ラジオ英会話

『NHK ラジオ英会話 音声(Audible版)』, (2025年6月号), 2025年, NHK 出版

※ 今年度から、音声教材は、 NHK 出版のサイトからもダウンロードできるようになりました。
NHK語学テキスト音声「ラジオ英会話」

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大西泰斗・ポール=クリス=マクベイ著『英単語イメージハンドブック』
▼ 参考になる本
普通の英単語

大西泰斗・デイビット=エバンス(著)『普通の英単語』(東進ブックス)、2025年、ナガセ

ラジオ英会話

大西泰斗・ポール=マクベイ(著)『英単語 基本イメージ集中講義(NHK出版新書)、2020年、NHK 出版

(冒頭写真:Hilton Hawaiian Village, Oahu, Hawaii, USA, 2015.9.11, 筆者撮影)

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