指定は前に置きます(指定ルール)。助動詞は動詞の前に置きます。心理をあらわします。
NHK ラジオ英会話、2024年8月は助動詞にとりくみました。助動詞は、話し手の心理をあらわす大切な表現です。各レッスンのキーセンテンスは以下のとおりです。和訳は(注)にしめしました。
Lesson 81 can の潜在 ① ── 能力・自由
I know you can do it.
Lesson 82 can の潜在 ② ── 許可
Can I pay by credit card?
Lesson 83 can の潜在 ③ ── 潜在的可能性
Can New York be dark at night?
Lesson 84 may の開かれたドア ① ── 許可
How may I help you?
Lesson 86 may の開かれたドア ② ── 推量
They may or may not be legends.
Lesson 87 must の高い圧力 ① ── 義務
You must remember that.
Lesson 88 must の高い圧力 ② ── 強い確信
You must be having second thoughts.
Lesson 89 will の見通す ① ── 予測
Everything will be fine.
Lesson 91 will の見通す ② ── 意志
I’ll give you a hint.
Lesson 92 should の進むべき道 ① ── アドバイス
You should get Derek back in the band.
Lesson 93 should の進むべき道 ② ── 確信
He should be back by noon.
Lesson 94 助動詞相当のフレーズ ① ── be going to
We’re going to crash.
Lesson 96 助動詞相当のフレーズ ② ── have to
You have to cut down on the sweets.
Lesson 97 助動詞相当のフレーズ ③ ── used to、had better
I’m not the singer I used to be.
Lesson 98 助動詞は重ねて使わない ①
I should be able to read it.
Lesson 99 助動詞は重ねて使わない ②
You’ll have to rewrite it.
(注)
- 81 あなたはそれをすることができると、私にはわかっています。
- 82 私は、クレジットカードで支払うことはできますか?
- 83 夜に、ニューヨークが暗いことがありうるのでしょうか?
- 84 どのようにあなたをお手伝いしましょうか?
- 86 彼らは、大御所なのかもしれないし、そうではないのかもしれません。
- 87 あなたは、それを覚えておかなくてはなりません。
- 88 あなたは、考え直しているにちがいありません。
- 89 すべてうまくいきます。
- 91 私はあなたにヒントをあげます。
- 92 あなたは、デレクをバンドに呼び戻すべきです。
- 93 彼は、正午までには戻ってくるはずです。
- 94 私たちは、墜落します。
- 96 あなたは、甘いものを減らさなければなりません。
- 97 私は、私が以前そうであったような歌手ではありません。
- 98 私はそれが読めるはずです。
- 99 あなたは、それを書き直さなくてはなりません。
*
助動詞は、英語の修飾をつかさどる2大ルールのひとつである「指定ルール:指定は前に置く」により、動詞の前に置かなければなりません。心理をえがく表現であり、複数の心理をかさねることはできないため、2つ以上を同時につかうことはできません。
can
can(~できる)のイメージは「潜在」です。主語の潜在的な性質をみぬく意識でつかいます。Lesson 81「I know you can do it.」では、相手の潜在的な能力(やろうとおもえばできる力)をみぬいています。Lesson 82「Can I pay by credit card?」では、潜在的に主語がもつ自由に焦点があたっていることをしめす、気軽な許可をあらわし、can の表す潜在的「自由」は、「許可」のつかい方につながります。Lesson 83「Can New York be dark at night?」では、「潜在的な可能性(~しうる・ときに~することがある)」 をあらわし、主語に内在する可能性をのべる言い回しになっています。
may
may のイメージは「開かれたドア」です。そこから、許可(~してよろしいでしょうか?)という表現がうまれます。権威ある者が目下の者にドアを開け、通してあげるニュアンスです。疑問文の May I 〜? には、相手を上に置く丁寧さが感じられます(Lesson 84)。また「開かれたドア」は、「推量(~かもしれない)」 のつかい方もうみだし(Lesson 86)、これは、可能性が閉じられておらず、おおよそ50%の可能性であり、話し手はよくわかっていません。
must
must のイメージは「高い圧力」です。これが、「義務(~しなければならない)」 につながり(Lesson 87)、命令文と等価なつよさが感じられます。また「高い圧力」が、間違いようのない結論にむかう「確信(〜にちがいない)」につながります(Lesson 88)。
will
will のイメージは「見通す」です。トンネルの出口のむこうに展開する情景がありありとみえる意識です。
should
should のイメージは「進むべき道」です。そこから、「アドバイス(~すべき)」の表現がうまれます(Lesson 92)。また「確信(~のはず)」 のつかい方もうみだし(Lesson 93)、この道に沿って事態はすすむ(はず)」がイメージされます。must にも、「確信(~にちがいない)」の用法がありましたが、should はその「弱いバージョン」です。
will と be going to のちがい
will のイメージは「見通す」であり、つまるところ単なる「予測」です。何かが今おこっている必要はありません。一方、be going to のイメージは「流れの中」、事態は to 以下に今つきすすんでいる最中であり、すでに事態はうごいていることをしめします。
must と have to のちがい
must のイメージは「高い圧力」、話し手をでどころとする主観的な「しなくちゃダメだよ」を表現します。一方、have to には、そうしなければならない つよい客観的な必要性が感じられ、need の「親玉」だとかんがえればいいでしょう。
⭐️ 助動詞のまとめ(【 】は核となるイメージ )
- can:【潜在】→ 潜在的能力、潜在的自由(気軽な許可)、潜在的可能性
- may:【開かれたドア】→ 許可、推量
- must:【高い圧力】→ 義務、確信
- will:【見通す】→ 予測、意思
- should:【進むべき道】→ アドバイス、確信
▼ NHK ゴガクル
上記のキーセンテンスは、NHK ゴガクルのサイト(無料)をつかって効率的に練習できます。
NHK ゴガクル “ラジオ英会話” フレーズ集
このサイトでたとえば、「聴き取り」をタップ(あるいはクリック)して、ネイティブスピーカーの音声を文字をみないできいてリズムをつかみます。そしてネイティブスピーカーのあとにつけて発音あるいはシャドウイングで発音練習をしてリズムにのります。必要に応じて文字や和訳をみて確認します。
▼ 参考文献(テキスト) & 音声教材
『NHK ラジオ英会話』(2024年8月号、NHK テキスト), 2024年, NHK 出版
『NHK ラジオ英会話 音声(Audible版(上)』, (2024年8月号), 2025年, NHK 出版
『NHK ラジオ英会話 音声(Audible版(下)』, (2024年8月号), 2025年, NHK 出版
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大西泰斗・ポール=マクベイ著『NHKラジオ英会話 語順でシンプル 英語文法マップ』 NHK出版、2022年
※ NHK「ラジオ英会話」2021年4月号~2022年3月号のテキストのエッセンスを再構成してまとめたものです。2021年度のラジオ英会話をきけなかった人のために、きいた人には復習のためにおすすめします。基本文型・説明ルール・指定ルールというたった3つの原則で展開される英語の本当の世界をたのしんでください。あなたの英語観がかわります。音声はダウンロードできます。
大西泰斗・ポール=マクベイ著『NHKラジオ英会話 英文法パーフェクト講義 上』NHK出版、2019年
大西泰斗・ポール=マクベイ著『NHKラジオ英会話 英文法パーフェクト講義 下』NHK出版、2019年
(冒頭写真:米国, ハワイ州オアフ島, アラモアナ・ブールバード(Ala Moana boulevard)と アロハ・タワー(Aloha Tower), 2015年, 筆者撮影)