基本文型をつかいこなします。主語の思考・発言・知識などを「リポート」します。主語・目的語を拡張します。
NHK ラジオ英会話、今月は、基本文型の学習の最終月として目的語説明型を仕あげ、また「リポート文」、さらに「主語・目的語の拡張」にとりくみました。各レッスンのキーセンテンスは以下のとおりです。和訳を(注)にしめします。
Lesson 61 基本文型 make を用いた目的語説明型
He always makes me laugh.
Lesson 62 基本文型 have を用いた目的語説明型
I’ll have my doctor look at it.
Lesson 63 基本文型 let を用いた目的語説明型
Let me check my schedule.
Lesson 64 リポート文 ──(that)節
I’m sure you’ll find something soon.
Lesson 66 リポート文 ── if / whether 節
I wonder if someone put it in there later.
Lesson 67 リポート文 ── wh 節
Do you know when he’ll be back?
Lesson 68 リポート文 ── 時制の一致
I thought she was great.
Lesson 69 リポート文 ── 時制の一致は絶対ではない
Deepak said the restaurant is full. Let’s go somewhere else.
Lesson 71 主語の拡張 ── 動詞 -ing 形・to 不定詞
Practicing is the only way to get better.
Lesson 72 主語の拡張 ── that 節
That you wrote a real letter and sent these photos is amazing!
Lesson 73 主語の拡張 ── whether 節
Whether you succeed or not is less important than doing your best.
Lesson 74 主語の拡張 ── wh 節
What you’re saying doesn’t make sense.
Lesson 76 目的語の拡張 ── to 不定詞・動詞 -ing 形
I like to look at the stars at night.
Lesson 77 目的語の拡張 ── これから動詞
I want to do a lot of new things with you guys.
Lesson 78 目的語の拡張 ── リアリティ動詞
I enjoy talking with her.
Lesson 79 目的語の拡張 ── to 不定詞・動詞 -ing 形の選択で意味が変わる動詞
Remember to feed Umi tonight.
(注)
- 61 彼はいつも私を笑わせます。
- 62 掛かりつけの医師にそれを診てもらいます。
- 63 私のスケジュールを確認させて。
- 64 私は、あなたがすぐに何か見つけると確信しています。
- 66 誰かがあとで、そこにそれを入れたのではないでしょうか。
- 67 あなたは、彼がいつ戻るのか知っていますか?
- 68 私は、彼女はすばらしいと思いました。
- 69 ディーパクは、レストランは満席だと言いました。どこかほかに行きましょう。
- 71 練習することが上達するための唯一の方法です。
- 72 あなたが本物の手紙を書いて、これらの写真を送ってくれたなんて驚きです!
- 73 あなたが成功するかどうかは、最善を尽くすことよりも重要ではありません。
- 74 あなたが言っていることは意味を成しません。
- 76 私は、夜に星を眺めるのが好きです。
- 77 私は、あなた方とたくさんの新しいことをしたいです。
- 78 私は、彼女と話すことを楽しみます。
- 79 今夜ウミに餌をやることを忘れないように。
*
今月までで、すべての基本型がつかいこなせるようになり、英文づくりの基礎能力はできあがりました。英語は、ひとことでいうと「配置の言葉」ですから、「主語の位置にあればそれは主語」、「目的語の位置にあればそれは目的語」です。動詞 -ing 形 や to 不定詞など、何でも主語や目的語になりえます。英文づくりを気軽にたのしんでください。
目的語説明型(つづき)
目的語説明型は、目的語と説明語句との間に、「=(イコール)」あるいは「主語・述語」の関係がある形です。Lesson 61 では、説明語句に、動詞原形 laugh(笑う)をつかい、「私が笑うという状況を make する=私を笑わせる」となります。make は、「(力を入れて)作り上げる」を意味し、つよい力で、そうした状況をつくりあげることをあらわします。
Lesson 62 は、「have+目的語+動詞原形」の目的語説明型の分であり、「my doctor が look at it する状況を have しますよ」ということであり、have は、「近くにある」をあらわす「静かな・動きが感じられない」動詞であり、ある状況を、簡単に、当たり前に、さしたる動きや努力なくえることをしめします。
Lesson 63 は、let(許す)をもちいた目的語説明型の文であり、 let は、力を行使して「させる」のではなく、事態がおこるのを「許す・許可する」ことをしめします。
リポート文
リポート文は、主語の思考・発言・知識などを「リポート」する文であり、英語の2大語順則のひとつ「説明ルール:説明は後ろに置く」がはたらき、動詞(句)の内容を後続の節(文の部品として使われる、主語・動詞を備えたちいさな文)が説明します。
Lesson 64 は、be 動詞を中心とした動詞句 am sure(確信している)の内容を、you’ll 以下の節が説明します。「I’m sure that 〜」と、節の前に that をおくことがしばしばあり、この形を「(that)節」とよびます。
あるいは if / whether 節(~かどうか)をつかうこともでき、Lesson 66 の wonder は、おおきな「クエスチョンマーク(?)」が頭にうかんでいることをあらわし、それを、if 以下の節が説明し、「~かどうかと思う=~ということなのかな」となります。あるいは wh 節をつかうこともできます(Lesson 67)。
リポート文で頻繁におこるのが「時制の一致」です(Lesson 68)。動詞(句)の内容を、後続の節が説明する形であるため、動詞(句)はいわば「箱」、後続の節の内容はその「中身」であり、「箱が過去に置かれたら、その中身も当然過去にあるはず」といった自然な類推がはたらきます。
しかし時制の一致は絶対の規則ではなく(Lesson 69)、ただの「今そうなのだ」と特別な意識がくわわる場合には現在形のままのこし、時制の一致を意図的にさけます。
主語の拡張
いきいきと出来事がおこっていることをあらわしたいときには「動詞 -ing 形」をつかいます。「~している」という「カタマリ」をつくり主語の位置にポン!とおきます(Lesson 71)。
that 節を主語にすることもできます(Lesson 72)。that 節のカタマリを意識していってください。whether 節(~かどうか)と wh 節 も主語の位置におけば主語になります(Lesson 73, 74)。(助)動詞の前の気楽においてください。
目的語の拡張
他動型「動詞+目的語」の目的語を to 不定詞・動詞 -ing 形で拡張できます。
目的語は、動詞の対象をあらわす文の要素であり、to 不定詞 あるいは 動詞 -ing 形 をつかって、「夜に星を眺めること」といった動詞句的な内容も対象にすることができます。Lesson 76 では、to 不定詞 をつかって、「夜に星を眺めることが好き」としています。
ただし動詞の中には to 不定詞 しか目的語にならないものも数おおくあり、want(欲する)もそのひとつです(Lesson 77)。to は、矢印(→)のイメージですから「これから」のニュアンスをもち、こうした動詞は「これから動詞」とよびます。ほかに、promise(約束する)、decide(決定する)、plan(計画する)、agree(同意する)などがあります。
他方、動詞句的な内容を目的語にもりこむとき、動詞 -ing 形 しかつかえない動詞があります。enjoy もそのひとつであり(Lesson 78)、こうした動詞は「リアリティ動詞」とよびます。enjoy は、具体的な行為を「楽しむ」という動詞であるため、いきいきとした行為が展開する様を描写する 動詞 -ing 形 がマッチします。「リアリティ動詞」には、finish(終える)、stop(やめる)、give up(あきらめる)といった具体的な行為がおこなわれていることを感じさせる動詞や、consider(よく考える)、imagine(想像する)、suggest(提案する)など、具体的な出来事をつぶさに想定する動詞などがあります。
ところで 動詞 remember は、目的語として to 不定詞 と 動詞 -ing 形のどちらもつかうことができますが意味がかわるため注意が必要です。to 不定詞 をつかうと、「~することを覚えている・忘れない」(Lesson 79)となりますが、「I remember talking to her.」 は「彼女と話したことを覚えている」となります。to 不定詞 は「これから」のニュアンスをふくむため、「(これから)~することを覚えている・忘れない」となり、動詞 -ing 形 は実際に具体的な出来事が想起されるため、「~したことを覚えている」となります。to 不定詞 と 動詞 -ing 形 のそれぞれのニュアンスを区別してイメージしてください。
▼ NHK ゴガクル
上記のキーセンテンスは、NHK ゴガクルのサイト(無料)をつかって効率的に練習できます。
NHK ゴガクル “ラジオ英会話” フレーズ集
たとえば、「聴き取り」をタップ(あるいはクリック)して、ネイティブスピーカーの音声を文字をみないできいてリズムをつかみます。そしてネイティブスピーカーのあとにつけて発音あるいはシャドウイングで発音練習をしてリズムにのります。必要に応じて文字や和訳をみて確認します。
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- 倒置・疑問文 - NHK ラジオ英会話(12月)-
- 関係詞節による修飾 - NHK ラジオ英会話(1月)-
- 仮定法と it - NHK ラジオ英会話(2月)-
- 英語のリズムを身につけよう -「文法力と語順の成熟」(NHK ラジオ英会話 3月)-
▼ 参考文献(テキスト) & 音声教材
『NHK ラジオ英会話』(2024年7月号、NHK テキスト), 2024年, NHK 出版
『NHK ラジオ英会話 音声(Audible版(上)』, (2024年7月号), 2024年, NHK 出版
『NHK ラジオ英会話 音声(Audible版(下)』, (2024年7月号), 2024年, NHK 出版
▼ 関連教材
大西泰斗・ポール=マクベイ著『NHKラジオ英会話 語順でシンプル 英語文法マップ』 NHK出版、2022年
(NHK「ラジオ英会話」2021年4月号~2022年3月号のテキストのエッセンスを再構成してまとめたものです。2021年度のラジオ英会話をきけなかった人のために、きいた人には復習のためにおすすめします。基本文型・説明ルール・指定ルールというたった3つの原則で展開される英語の本当の世界をたのしんでください。あなたの英語観がかわります。音声はダウンロードできます。)
大西泰斗・ポール=マクベイ著『NHKラジオ英会話 英文法パーフェクト講義 上』NHK出版、2019年
大西泰斗・ポール=マクベイ著『NHKラジオ英会話 英文法パーフェクト講義 下』NHK出版、2019年
(冒頭写真:米国, ハワイ州オアフ島, Na Kupuna Makamae Center(Oahu, Hawaii, USA), 2015年, 筆者撮影)