形容詞・副詞(NHK ラジオ英会話, 2022.11)

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核となるイメージをおもいうかべます。連想します。容易に理解でき記憶できます。

NHK ラジオ英会話、今月は、形容詞と副詞にとりくんでいます。イメージをえがいて本質をつかんでください。日本語訳にとらわれているとつかいこなせません。

Lesson 141 fine のイメージ

I’m fine with that.

fine のイメージは「濁りがない・スッキリ」です。それが、この文の「問題ない・かまわない」というつかい方につながります。

fine のイメージ
fine のイメージ
Lesson 142 happy の振れ幅

We’re happy to have you here with us.

happy は「満足」から「うれしい・幸せ」までを幅ひろくおおう汎用性がたかい表現です。「幸福な」にとどまらず幅ひろくつかえます。

Lesson 143 big を気楽に、上手に

Dad said you’re a big fan of whisky.

big は「大きな」と訳されますが、この文では large はつかえません。large は、サイズの大きさを客観的に単にしめす単語であり、「大ファン(熱狂的なファン)」のような比喩的なひろがりはありません。

Lesson 144 little を気楽に、上手に

It’s just a little test.

little と small はどちらも「小さな」ですが、small は、サイズの小ささを客観的にあらわし、little は、「ちょっとした・大したことのない」という感情的奥行きが感じられます。

Lesson 146 close の感触

They seem very close.

near は、「2点間の近さ」を単にあらわすのに対し、 close は、「対象物がグッと体にせまってくる」感覚をともない、比喩的なひろがりがあります。このキーセンテンスは「親密さ・仲のよさ」をあらわします。

Lesson 147 難易度を表す形容詞

He’s easy to talk with.

easy は「簡単な」ということであり、難易度をあらわす形容詞です。

Lesson 148 可能性を表す形容詞

You’re likely to win a prize.

この文は、likely(~しそう・ありそう・起こりそう)と to 不定詞のコンビネーションであり、 可能性をあらわす形容詞がとる特徴的な形です。to 不定詞をつかっているのがポイントであり、可能性をあらわす形容詞はしばしばこの形でつかいます。

Lesson 149 形容詞+ to 不定詞

We are eager to meet you soon.

eager は「切望して・~したがっていて」ということであり、「うずうずして我慢ができない」ことをあらわします。

Lesson 151 感情を表す形容詞 ①

It was a little disappointing.

disappointing は、動詞 disappoint(ガッカリさせる)から派生した形容詞であり、この文の disappointing は「ガッカリさせるような」と、主語 It に対してつかわれています。英語では、感情をあらわす動詞は、「~させる」と他動的な意味をもつのが典型的で、それに ing をつけた disappointing のような形容詞は「~させるような」と、感情をいだかせる対象につかわれます。

Lesson 152 感情を表す形容詞 ②

I was disappointed with the food.

動詞 disappoint(ガッカリさせる)から派生したもうひとつの形容詞が disappointed であり、disappoint の過去分詞です。過去分詞は「~される」というように受動の意味をもつため、 disappointed は「ガッカリさせられる→ガッカリする」となり、人の感情を形容します。

Lesson 153 形容詞もイメージで ①:使い分け

These are still too hard.

机をコンコンたたいてみてください。それが hard のカタさです。

Lesson 154 形容詞もイメージで ②:豊かな表現

I know that seasonal expressions are essential for haiku.

essence は、「本質・核心」をあらわし、「絶対に必要な」というニュアンスがうまれます。「重要な」を意味する形容詞には important 以外にもいくつかあります。

Lesson 156 so のイメージ

I was so tired from making videos of our cat.

so のイメージは「矢印(→)」です。「だから」といった接続詞のつかい方もあります。

Lesson 157 too、rather のイメージ

The movie was too long.

too は、「~すぎる」と、非常につよい強調をあたえます。「~すぎる」は、「不都合」や「できない」をつよく連想させます。

Lesson 160 ever のイメージ

Have you ever been to Europe?

ever のイメージは、「at any time(いつの時点をとっても)」ということであり、この文は、正確には「いつのことでもいいのですが、ヨーロッパに行ったことはありますか?」ということです。ever によって、出来事の時点にとらわれない経験をたずねていることが明確につたわります。

Lesson 159 never のイメージ

I’ve never been to Japan.

ever の反対は never であり、ever は「at any time(いつの時点をとっても)」ですから、 never は「いつの時点をとっても~ない→これまで・決して~ない」ということです。

形容詞のまとめ

()内はイメージです。

  1. big(おおきな(large とはちがい比喩的なひろがりがある))
  2. close(対象物がグッと体にせまってくる)
  3. disappointing(ガッカリさせるような)
  4. disappointed(ガッカリさせられる→ガッカリする)
  5. easy(簡単な)
  6. eager (切望して、~したがっていて、うずうずして我慢ができない)
  7. essential(絶対に必要な)
  8. fine(濁りがない、スッキリ)
  9. happy(満足〜うれしい・幸せ)
  10. hard(コンコンと机をたたくカタさ)
  11. likely(~しそう、ありそう、おこりそう)
  12. little(ちょっとした、大したことのない)

たとえば fine は、「よい」「元気だ」「晴れている」など、たくさんの日本語訳がありますが、こうした日本語訳をすべておぼえようとしているとくるしくなりますので、「濁りがない、スッキリ」をしっかりまずはイメージし、そこから、たとえばつぎのように連想します。

  • I’m fine.(元気です。)
  • fine weather(いい天気)
  • fine day(晴れの日)
  • fine gentleman(正真正銘の紳士)
  • fine gold(純金)
  • fine hair(細い毛)
  • fine sand(細かな砂)
  • There is a fine line between genius and insanity.(天才と狂気は紙一重です。)
  • Everything is fine.(すべて順調です。)
  • Three o’clock sounds fine.(3時は問題なさそうです。)

あるいは close は、「対象物がグッと体にせまってくる」イメージであり、そこから連想します。

  • I live close to my office.(私は、会社のそばに住んでいます。)
  • take a close(×near) look at(そばで見る)
  • pay close(×near) attention(細心の注意を払う)
  • Come close to me.(そばにおいで。)
  • close(×near) friend(親しい友人)
  • close(×near) relationship(親密な関係) 
  • close game(接戦)
  • That was close.(ギリギリだったね。)

核となるイメージをおもいえがき身につけ、そして連想するという方法をとるべきであって、日本語訳をどんどん暗記していくという方法はよくありません。

そもそもすでにしっていることと類似なことや関連することをおもいついたときに「わかった!」という気持ちが生じ、つまり理解がすすみ、またすでにもっている情報に類似な情報が結合したときに記憶という現象がおこります。たとえばちいさな子供がはじめてリンゴをたべてリンゴについて理解し記憶したとします。するとその後、モモやナシについても容易に理解し記憶できます。類似な情報はむすびつきます。しかしキュウリやレンコンについては理解できません。核となる情報をあらためて身につける必要があります。

したがって核となるイメージをいくつもしって身につけておけば、それと類似なことや関連することをおもいつきやすくなり、つまり理解がすすみ、また核となるイメージにあたらしい類似な情報が結合し、つまり記憶がすすみます。いいかえると、核となる情報をもっていなければ理解も記憶もすすみません。心のなかで情報がつながる連想法は理解と記憶をいちじるしくすすめます。

表現力のある人が比喩と例示を多用するのも類似情報は結合するというしくみをつかっているためです。

このように、理解と記憶のしくみをつかうことがとても大事であり、〈イメージ→連想〉という方法は理にかなっていてたいへん効果的です。日本語訳をどんどん暗記していくというやり方とは原理がちがいます。

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▼ 参考文献 & 音声教材
『NHK ラジオ英会話』(2022年11月号、NHK テキスト)NHK 出版、2022年
『NHK CD ラジオ英会話』(2022年11月号)NHK 出版、2022年
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2017年
川喜田二郎著『KJ法』(川喜田二郎著作集 第5巻)、中央公論社、1996年

▼ 関連教材

(冒頭写真:イングランド、オックスフォード駅(Oxford railway station)、1999年、筆者撮影)

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