among, before, after, along, by, under, beyond, behind, with, without, across -「前置詞 ②」(NHK ラジオ英会話, 2022.09)-

情報処理

基本イメージをつかいます。納得・安心して音読・暗唱にすすめます。トップダウンとボトムアップの相乗効果があらわれます。

NHK ラジオ英会話、先月にひきつづき前置詞にとりくんでいます。

Lesson 101 among のイメージ

There’s a new Italian place that’s very popular among university students.

among のイメージは「一群のモノ・人々」、ごちゃごちゃしており、ひとつひとつが明確にわかれて意識されません。

Lesson 102 before のイメージ

We often go jogging together before breakfast.

before のイメージは「順序が前」です。

Lesson 103 after のイメージ

Could you look after my plant?

after も順序をあらわし、イメージは「ついていく」です。

Lesson 104 along のイメージ

The weather today is perfect for cycling along the river.

along は、細長い線状のものに「沿った」動き・位置をあらわします。

Lesson 106 by のイメージ ①

I would put a little log cabin by the lake there.

by のイメージは「近接(~の近く・そば)」です。near よりもちかい感触です。

Lesson 107 by のイメージ ②

I have to finish this student survey report by 11 a.m. tomorrow.

by の基本イメージ「近接(~の近く・そば)」から「期限(~まで)」がうまれます。「〜時までに終わる」場合、その「近く」で作業が終わることが想像されます。

Lesson 108 by のイメージ ③

You can’t judge a book by its cover.

ある行為の際、その「方法」が手近に感じられるため by がつかわれます。

Lesson 109 by のイメージ ④

We have to stand by our decision.

stand by のイメージは「そばに立っている」です。「(約束などを)守る・支持する、味方になる、待機(スタンバイ)する」などさまざまに訳されますが、いずれも「そばに立っている」イメージです。

Lesson 111 under のイメージ

I worked under a female professor for many years.

under のイメージは「~の下」です。

Lesson 112 beyond のイメージ

It’s beyond my comprehension.

beyond のイメージは「~を超えて」です。範囲や境界線を超えていることを示します。

Lesson 113 behind のイメージ

She’s hiding behind the curtain.

behind のイメージは「~の後ろに」です。「in front of」とは逆の位置関係をあらわします。

Lesson 114 with のイメージ ①

I don’t have my brush and paper with me today.

with のイメージは「つながり(一緒)」です。場所や時間などさまざまな「つながり」をあらわします。

Lesson 116 with のイメージ ②

It’ll get easier with time.

with のイメージは「つながり(一緒)」であり、場所以外の「つながり」もあらわせます。この with は「時間的なつながり(同時性)」をあらわしています。

Lesson 117 with のイメージ ③

Did you take any pictures with the old film camera I gave you?

with の重要なつかい方に「道具・材料(~を使って)」があり、道具や材料は手と「一緒」にあり、このつながった感触を with であらわせます。

Lesson 118 without のイメージ

It goes without saying that you and your fiancée are enjoying your new apartment, right?

without のイメージは with の逆、「つながりなし」ということです。

Lesson 119 across のイメージ

I saw you running across the street!

across のイメージは「横切る」です。

今月は、前置詞、among・before・after・along・by・under・beyond・behind・with・without・across にとりくんでいます。これらをみて、こんな単語はしっているとおもうかもしれませんが、ぱっとみて、イメージ(視覚的な映像)がすぐにおもいうかぶでしょうか?日本語訳をおもいだすのではなくイメージをおもいうかべることが大事であり、英単語→イメージ、イメージ→英単語というように、理屈ではなくイメージをえがきます。情報処理能力のたかい人は視覚系の回路をよくつかいます。

たとえば by の基本イメージは図1のとおりです。

by のモデル
図1 by のイメージのモデル
(Lesson 106 の図を改変)

基本イメージ(モデル)をつかえばさまざまな英文が容易に理解できます。

  • This book was written by a famous novelist.
  • I like songs by this singer.
  • I’ll be there by six.
  • By the way, I’m going to a classical concert.
  • Are you going by yourself?
  • This is his most popular book by far.
  • They were walking side by side.
  • His English is improving little by little.
  • I put $5 by every week for a rainy day.

基本イメージをしっていれば、どんな英文でもどんなつかい方でも直観的に理解でき納得できます。霧がはれ安心できます。すっきりした気分で音読・暗唱練習にはいれます。あともどりすることはもうありません。そうではなく、もやもやした気持ちで何だかよくわからないまま暗記をくりかえしていると苦労した割に効果はあがりません。ふるい “根性勉強” で経験した人がいるとおもいますが、英語は根性でやるものではありません。言葉は合理的で明快でもっとうつくしいものです。

基本イメージをつかってください。基本イメージはひとつであり不変であり、単語の本質・原理をしめし、モデルといってもよいでしょう。モデルによって、あらゆる単語のつかい方が説明でき、このように、モデルからさまざまな英文(具体例)へすすむときにはトップダウンの思考がはたらきます。そしてさまざまな例文の音読・暗唱をしたあとで、あらためてモデルをとらえなおせばつかえる英語が身につきます。具体的な英文からモデルへすすむときにはボトムアップの思考がはたらきます。トップダウンは演繹法、ボトムアップは帰納法といってもよいでしょう。

  • トップダウン(演繹法):モデル→具体例
  • ボトムアップ(帰納法):具体例→モデル

ラジオ英会話をききながらテキストもみて練習すれば、このようなトップダウンとボトムアップがおのずとできてしまい、トップダウンとボトムアップの相乗効果をすぐに体験することができます。

番組を視聴していると、大西泰斗先生・ポール=クリス=マクベイ先生らは膨大な英文から基本イメージを正確に帰納し、そして基本イメージにもとづいてさまざまな英文にとりくんでいることがわかります。多数の具体例から根本にある本質・原則をあきらかにし、そしてそれにもとづいて具体例を検証し理解していく方法は科学的方法といってもよいでしょう。

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▼ 参考文献 & 音声教材
『NHK ラジオ英会話』(2022年9月号、NHK テキスト)NHK 出版、2022年
『NHK CD ラジオ英会話』(2022年9月号)NHK 出版、2022年

▼ 関連教材

(冒頭写真:イングランド、ストラットフォード・アポン・エイボン、ホリートリニティー教会(Holy Trinity Church)、1999年、筆者撮影)

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