その場の記録 -点メモ-

京都府竹野郡網野町八丁浜
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簡単なメモ

点メモと恒久記録

 


2004年05月08日発行

 

 簡単なメモ

 わたしたちは情報収集を日々おこなっている。しかし、せっかく情報があつまっても、記録をしないでおくとえられた情報は次第にきえていってしまう。そこで、いかに効率的にらくに記録をとるかということが大きな問題になる。

 そのために役立つのが「点メモ」(注)とよばれる記録法である。「点メモ」とはキーワードだけの点々とした簡単なメモであり、みたりきいたりしたことの本当の要点だけを略語や記号でノートや手帳に記載する方法である。その時その場ではこのような簡単なメモにとどめておき、文章としては記録しないようにする。

 そしてあとで余裕のあるときに、この「点メモ」をみながらみたことや きいた話をおもいおこしながらその内容を、こんどはワープロをつかって文章としてしっかり記録する。「点メモ」を中核にして、メモをとったその時その場の情景、あるいは体験したことの全体を想起しつつ、一気に文章化をすすめるのである。

図1.点メモは体験の中核

 

 点メモと恒久記録

 この記録法では、その時その場の記録は「点メモ」にしておき、オフィスや自宅などにもどってから余裕をもって「恒久的な記録」をつくることになる。したがって、「点メモ」はあとでそれをみて体験したことを想起できるようであればよい。ただし、「点メモ」をつけるときはその時その場の状況や体験から意味をよみとり、それをあらわすキーワードを記録することが重要である。そのためには、常日頃から自分の問題意識を明確にしておく必要がある。

 

図2.点メモから文章化へ

 

 「恒久的な記録」は、パソコンに時系列で入力しておけばいつでも検索・活用することができる。紙のノートに記録をつけていてもつかいきれないことは現代ではあきらかである。文章化ののち重要な箇所に★印をつけておけば情報の活用が一層容易になり、情報を評価し価値判断をくだすことにもつながってくる。このような記録は、あまり時間をかけずに素早く毎日おこなうことが大切である。

 なお状況がゆるされるならば、ノートや手帳はつかわずにキーワードをいきなりパソコンに入力してしまうという方法もありえる。しかし、あるきながらあるいは相手の話をききながら記録をとる場面はたくさんあり、つねにパソコンをつかえるとはかぎらない。したがって「点メモ」が不要になることはなく、折にふれて「点メモ」の訓練をしておいた方がよい。

 

(注)「点メモ」は取材技術の一部として文化人類学者・川喜田二郎教授により開発された。川喜田二郎著『KJ法 - 渾沌をして語らしめる』(中央公論社、1986年)などに解説されている。

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